2020年東京五輪のビッグサイト会場問題【PICKUP!】

 
  • 2018/6/27

2020年東京五輪を前に東京ビックサイト会場問題が起こった理由

 

1.五輪ビッグサイト問題とは?臨海地区で何が起こっているのか


■2020年の東京五輪に伴い報道機関向けのメディアセンターとして20ヵ月間利用される
■通常開催されている展示会やイベントが縮小または中止になる
■代替え候補の施設や会場がなかなか決まらない
■幕張メッセでも3競技が行われる事が決定しており、イベントの代替え場所として機能していない

展示会を開催出来ないと誰がどう困るのか

 展示会とは、企業と企業を結ぶために業界・業種ごとに開かれる新製品や技術のお披露目の場です。展示会に出展する企業には、特殊な商品や技術を売る中小企業が多く、日本にしかない技術を探しに海外から参加する人も少なくありません。そこに集まる人たちにとって、展示会は年に限られた日にだけ開かれる、自分たちの業界の「市場」なのです。一度の展示会で何百社も出展して、何十億という商談が成立することもあります。

 東京ビッグサイトでは年間300以上の展示会が開催されており、展示会を生業とする企業も少なくないのです。特に中小企業にとっては、このマーケット(市場)を一気に失う損失は計り知れません。

どうして今、大問題になったのか

 2つの要因が考えられます。

①このままでは倒産の危機に瀕すると訴える展示会に関わる企業の要求に対し、東京都の対応が極めて限定的であること
②展示会に関わる企業の大半が中小企業だったため、声が拾われにくかったこと

 展示会主催会社やディスプレイ施工会社、展示会を商談の場としている中小企業やコミックマーケット(コミケ)を支える協力企業が、計画変更を求める声を上げ続けています。しかし、ビッグサイトを実質的に所管する東京都や、都と共にオリンピックの施設利用計画を立てるオリンピック組織委員会は、計画変更に応じるそぶりを見せません。これまでに国際イベントニュースに掲載した記事を中心に、「五輪ビックサイト問題」の全体像を解説します。


 

2.ビックサイトが使用できない期間

 オリンピックに向けたビッグサイトの改修工事は、すでに始まっています。
工事のために閉鎖された施設や、新たに増設されたものもあります。問題となっているのは、全体の4割が使用できなくなる2020年5月以降と、全面使用不可となる2020年6月〜9月です。ビッグサイト以外の施設を使えばいいと考える人は多いでしょう。しかし、代替施設となるはずの幕張メッセも、オリンピック会場としての使用が決まっています。パシフィコ横浜は敷地面積がビッグサイトの4分の1程度しかなく、代わりにはなりません。

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3.なぜ、ビッグサイトをオリンピック施設として使用することに抗議する人がいるのか

 東京ビッグサイトでは、年間300以上のイベントが開催されています。モーターショーやゲームショーのように広く一般の人が参加する見本市や、コミックマーケットなどが有名ですが、それらはごく一部のもので、一番数が多いのは、企業と企業を結ぶために業界・業種ごとに開かれる展示会と呼ばれるものです。

 展示会に出展する企業には、特殊な商品や技術を売る中小企業が多く、日本にしかない技術を探しに海外から参加する人も少なくありません。そこに集まる人たちにとって、展示会は年に限られた日にだけ開かれる、自分たちの業界の「市場」なのです。

 また、展示会に関わる仕事も多岐に渡ります。展示会の主催業務、出展ブースのディスプレイデザイン・施工、電気工事、あるいは、コミケで販売される自主制作コミックを印刷する企業もあります。

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4.施設利用計画の決定権者は今も見えぬまま

 次に考えなければならないのは、オリンピックのために使う施設について、計画を決定するのは誰か、ということです。決定権は東京都とオリンピック組織委員会の手に委ねられていますが、双方の責任範疇を決める線引きは取材を続けている我々にもよくわかりません。さらに、東京都はビッグサイトの代替施設として用意する仮設展示場について、昨年12月、設置期間を20年11月まで延長するという発表をしましたが、今月頭になって「設置期間は延長するが利用できる保証はしていない」と担当課長が発言し、20年4月〜10月、ビッグサイト関連の施設を民間が利用できる可能性はほとんどないという見解を示しました。

 このような経緯の中で、業界は都に対する信頼を無くし、この状況を知った人たちから見直しを求める署名が1週間だけで約6万件集まりました。オリンピック組織委員会においては、「対応窓口は都」という回答を今も続けています。

食い違う2者の主張 五輪組織委・東京都

 

5.高まる反発 小池都知事はどうする?

 これまで、小池都知事は業界団体が提出した署名の受け取りに際しても、担当課長に対応させるなど、ビッグサイト問題と関わりを持ったことがありません。超党派の国会議員が所属する展示会議連で幹事長を務める公明党の漆原良夫中央幹事会会長は、業界団体に対してもっと声を上げるよう要請し、公明党として都議会でもバックアップを辞さないと述べています。

 ビッグサイトは、展示会を商談の場としている企業にとって売り手と買い手が出会う「市場」そのものです。機能としては、食品業界における築地市場となんら変わりません。今行われようとしているのは、市場を潰そうとしている話なのです。日本の産業に大打撃を与えるこの話がこれまで振り向かれなかったのは、関わる企業の大半が中小だったからでしょう。彼らの声よりも優先されてきたことがあったのかもしれません。声に耳を傾けて、実際に動くことができるのは小池都知事や都議会、そして彼らを動かす都民の他にいないでしょう。


【2019年5月追記】
 その後、4月29日に幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」の中で「仮設で対応します」とコメントしました。しかし、実態を理解したうえでの回答なのか、疑問が残ります。


展示面積ゼロの危機 東京ビッグサイト仮設展示場
五輪会場問題への反対署名 14万4000件に急増
小池都知事「仮設で対応」ビッグサイト会場問題
お願いする話じゃない ~シリーズ五輪の影~

 

6.デモが止まらない

 参加した約400人のほとんどが展示会の造作や電気工事、リースなどを行う支援会社の社員や家族です。五輪によるビッグサイトの利用制限が生活の基盤を脅かす問題だと訴えています。

 展示会主催・支援会社の8割超がビッグサイトの会場問題に対して「いまだ解決していない」と回答したアンケート結果を公表しています。「解決した」と回答したのは全体の約1%にとどまり、ほとんどの企業が現状の対応策に不満を持っていることがわかっています。

デモ参加 不利益を払いのけようとする個人の行動を咎めることはできない
都議選前夜のデモ行進 東京ビッグサイトを争点に
五輪会場問題アンケート 8割超が対応に不満
五輪問題、2度目のデモ

 

7.使用制限期間の短縮を発表【2018年6月追記】

 東京都は2017年9月28日、五輪・パラリンピックによる2020年の東京ビッグサイトの使用制限期間を短縮することを発表した。これまで使用できないとされてきた5月1~5日の5日間で西・南展示棟が使用できるようになったほか、りんかい線「東京テレポート」駅に建設予定の仮設展示場を7月1~14日と9月10~30日の計35日間にわたって使用できるようになります。

東京ビッグサイト~2020年GWなど利用可能に
展示施設と主催者の苦悩は続く「五輪で会場が使えない」

 それでも抜本的解決にはなっていないのが現状です。

モーターショー 2019年は「ビッグサイト中心」に開催
ビッグサイト問題 道半ば~シリーズ五輪の影~

コミケは合同開催することに決定

  日本最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」を主催する準備会ら7社は、2020年5月に同人誌即売会「DOUJIN JAPAN2020(仮)」を東京ビッグサイトで開催すると発表しました。

「コミケ」2020年はGW開催に

 

8.五輪会場問題、誰も予想しなかった形で再び【2020年5月13日追記】

 オリンピック開幕半年前のセレモニーが行われたのは、2020年1月24日。新型コロナウイルスの感染拡大で、武漢封鎖措置が発表されたのはその前日でした。それからわずか60日余り、東京五輪は2021年夏に延期されることが決まりました。東京ビッグサイトではすでに、2021年4月以降50件のイベントの利用予約を受け付けています。

東京ビッグサイト 2021年度も50件のイベントが予約済み
東京ビッグサイト 五輪延期で使用制限延長 代替会場なければ補償問題に
東京ビッグサイト東展示棟 2021年冬まで使用できず

 

◆ビッグサイトってどんな場所?

東京国際展示場(東京ビックサイト)

敷地面積 265,751.63㎡

屋内展示場面積 95,420㎡
 東展示ホール 51,380㎡
 西展示ホール 29,280㎡
 東新展示ホール 14,760㎡

屋上展示場 6,000㎡


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎

国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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