第43回 2年ぶりの日本への帰国 厳しい検疫を体験【今日の中国】

▲出発時刻の3時間前からチェックインの手続きが始まった

 2月某日、2年ぶりに日本に帰国することになりました。新型コロナウイルスの影響で、海外渡航が厳しく制限されている中での帰国ということでいろいろと心配もありましたが、無事に日本へと戻ってくることができました。なかなか貴重な体験だったので、今回は帰国までの体験談を紹介したいと思います。

 今回は上海市の南西にある杭州蕭山(しょうざん)国際空港から成田空港へ向かいました。上海にいた経験がある人からすれば、不思議に思うかもしれません。普通ならば、上海市にある上海浦東(プードン)国際空港を使う人が多いでしょう。わざわざ上海市から27キロの距離にある杭州蕭山国際空港を選んだ理由はただ1つ、価格が安かったからです。私が利用した杭州―成田便は6万6000円でしたが、上海浦東―成田便の価格はなんと20万2000円。どちらも航空会社は日本の会社でしたが、約3倍の差がありました。上海市街から杭州空港までは車で約2時間30分。迷わず杭州空港を選びました。

中国よりも日常規制が緩い日本だが、検疫体制は

 大変だったのは、やはり出入国時の検疫です。通常、海外へ飛行機で渡航する場合は出発の2時間前にチェックインが開始となりますが、今回は3時間前と言われていました。10時30分に上海の自宅を出て、空港に到着したのは13時ちょうど。まずは72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書を提出する必要があります。今回は日本へ渡航するため、PCR検査の内容も日本政府が認める形式のものでなくてはなりません。これがトラブルになることが多く、私が搭乗した便でも、中国国内用のPCR検査しか受けてない人がおり、その人は搭乗することができませんでした。

▲中国語での健康アンケートチェックが行われる

 荷物を預けてチェックインした後は、健康アンケートのチェックが待っています。事前にダウンロードしておいた質問票を基に、担当者が質問してきます。このやり取りは中国語で行われるので、中国語を話せない外国人は苦戦を強いられます。仕事で来中していたのか、うまくコミュニケーションが取れず苦労している欧米人を目にしました。かなり厳格な体制になっているのか、この健康チェックには長い行列ができており、私も1時間待たされました。

 最後に待っているのが、出入国審査です。ここも新型コロナの影響からか非常に混んでおり、質問事項も以前より多かったように感じました。無事に審査を終えて空港ラウンジにたどり着いたのは出発の1時間前。空港到着からラウンジ入りまで丸々2時間かかりました。

 機内は思いのほか乗客が多く、全体の75%程度は座席が埋まっていました。出国までは大変でしたが、いざ出発すると機内は以前と変わらず快適。フライトも順調で、予定より30分早い2時間で成田空港に到着しました。到着すると機内前方の座席から順に、3つのグループに分かれて空港内へ移動。2種類の受付窓口を通過し、唾液接種型のPCR検査を受け、その場で陰性が確認できた人は入国審査を受けることになります。中国ではこの審査に膨大な時間を要しますが、日本の検査は非常にスムーズ。スピーディに入国できる環境を整えているあたりは、「さすが日本」と感じました。ただ、本当に大変なのはこれからです。

▲日本到着の翌朝。早速体温チェックから朝が始まる

 日本に到着後は、自宅や指定のホテルで7日間の隔離が求められます。空港から隔離先への移動に公共交通機関を使用することはできません。私の場合、成田空港周辺にあるホテルを予約していたため、帰国者専用の無料バスに乗ってホテルへと向かいました。ホテルに到着したのは夜10時30分。上海の自宅を出てちょうど12時間後にホテルへ到着したことになります。隔離期間は7日間なので、ホテルでの滞在は8泊。その間は、厚生労働省がリリースしている健康確認アプリ『MySOS』で1日数回の居場所確認に対応します。長い隔離期間を経てようやく自由の身となったわけですが、久しぶりの日本を楽しむ余裕はなく、「とにかく人がいない(少ない)場所しか行きたくない」という思いでいっぱいでした。

 そう考えてしまう理由には、中国での厳しいコロナ対策があったからかもしれません。日本で生活している皆さまからすれば信じられないかもしれませんが、今の中国では日本ほど自由な行動が取れません。自分が新型コロナに感染していないかを管理する『健康QRコード』というアプリで健康状態や位置を常に厳しくチェックされており、自分が住む地域が『蔓延(まんえん)地域』に指定されると、地域外へ出ることができなくなります。例えば、今回私は上海から杭州まで車で移動しましたが、もし上海が蔓延地域に指定されると、杭州のパーキングエリアに足を踏み入れることさえできません。喉が渇いていても飲料水を買うこともできず、トイレに行きたくなっても行けません。蔓延地域は1000万人都市のうち100人以上の感染者(濃厚接触者含む)が確認された場合に指定されるため、自身の住む地域が指定されないか、常にチェックしていなければなりません。窮屈に感じられるかもしれませんが、逆に、それほどまでに『ゼロコロナ』への対策を徹底しているのだとも考えられます。

 2年ぶりの日本となりましたが、新型コロナによって生活が大きく変わったことで、以前とはまた違う印象を受けます。中国と日本、それぞれの感染対策があり、今後もこうした生活が続いていくことでしょう。今はひとまず、ひさりぶりの日本での生活を楽しみたいと思います。

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