一言、謝ってほしい~シリーズ五輪の影①~

 
  • 2017/1/17

ビッグサイトで展示会を開催しなくなった時、その影響を直接食らうのはそこで事業を成り立たせているブース制作などの専門会社だ。長年、展示会業界を支えてきた関係者は、オリンピックのために切り捨てられようとしていることへの憤りを語った。だが、その怒りは、これまであまり表に出てこなかった。「ビッグサイトとかまえたくない」取材を拒否した、ある経営者の言葉に理由は集約されている。会場の協力なしでは、日常業務に支障が出るからだ。

 

どうして事前相談がないんだ

展示会のブース装飾が売り上げの8割を占めるボックス・ワン(東京都江戸川区)の場合、その半分がビッグサイトでの仕事だ。一部の展示会が他会場に移ったとしても、今の発表通りビッグサイトで1年以上展示会が開催されなければ、3割以上の減収となる試算が出ている。50人の社員がいるが、仕事がないのであれば、いっそ長期休暇にしてしまおうか、という話も出ている。

彼らが設計したブースを実際に組み立てるのは、施工会社の職人たちだ。外部とはいえ、ボックス・ワンの仕事だけで生計を立てる職人もいる。「お互い苦しい時に助け合ってきた仲間を切り捨てるわけにはいかない」と豊田悦男社長は話す。

展示会の現場では、予期せぬ業務が大量に発生することがある。本来は大勢でやるべきところを、現場の職人に無理を頼むことは珍しくない。反対に、突然仕事がなくなってしまうこともある。だからといって、今日の仕事はなくなった、と帰すことはしない。限られた仕事を回しあって、お互いを支えてきた。

2015年10月、ビッグサイトで行われた説明会のことを思い出すと、悔しさが込み上げてくる。決定事項として1年以上展示会開催ができなくなることを一方的につきつけられた。それまで噂としては聞いていたが、事前の説明や相談は一切なかった。「仕事を失う職人が大勢出ることを、ビッグサイトの職員はよく知っている。昨日今日の付き合いじゃない。晴海の時代から、展示会を一緒に支えてきた人たちだ」

仮設展示場の利用期間を延ばすための尽力があったことも分かっている。「でも本当は、一言謝ってほしいよ」

 


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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