数千万円の売り上げ損失【シリーズ五輪の影】①後編

 
  • 2017/1/11
【シリーズ五輪の影】①前編はコチラ

 東京ビッグサイトでは、現在年間約300本の展示会が開催されている。五輪開催によってビッグサイトを使用できなくなった場合、現在開かれている展示会の多くが非開催や規模縮小となるか、別会場へ移ることとなる。

展示会をきっかけに業績好転

▲会場で呼びかけたセミナーにも来場者が集まった

 企業向けの社員研修や、人事・教育制度のコンサルティングサービスを提供するウェルネット(東京都渋谷区)は、4年前に参加した、総務・人事担当者向けの展示会「HRエキスポ」をきっかけに、増収増益に転じた。利益率の高いコンサルティングサービスにつながる顧客と出会えるようになったからだ。今では売り上げの2割を展示会で稼ぐ。

 それまでは顧客開拓が進まず苦しい時期を過ごした。研修商品は該当社員が資格を取得すると、継続販売が難しい。新規を開拓し続けるか、教育・人事制度の全体運用を引き受けるコンサル契約を増やさなければ、すぐに減収してしまう。創業10年を迎えた頃、今まで通りの営業では拡大ができない時期を迎えていた。

利益率の高いコンサル契約が結べると話すウェルネット(東京都渋谷区)の山根裕基さん

 すがる思いで参加した展示会は、終わってみれば3日間で500万円以上の受注につながった。会場で知り合った顧客との間でコンサル契約も相次いだ。会場でブースを構えると、社員教育に悩む企業の担当者の方から相談に訪れるため、初めから課題の根元に迫る話ができたからだ。


五輪開催に合わせた商品開発

「新作発表の場を失うことが怖い」と神津精機(川崎市)三宅 雄一郎さんは話す

 「オリンピック開催の年に合わせて開発を進めている商品があるのに」。精密測定機器の開発・販売を行う神津精機(川崎市)の営業三課に不満が渦巻いていた。

 三課が担当する高度形状測定システム『Dyvoce(ダイボス)』は、『ウエハ』と呼ばれる半導体製造に使われる円柱状の部品などの測定に使用される機器で、価格は700万~1000万円。年間販売額は約1億5000万円で、展示会出展で企業にお披露目し、その後数年かけて購入に至ることが多い。

 「我々のような機器メーカーは、新作を発表する場所がなくなると、顧客にアピールする手段がなくなる。五輪開催の年に合わせて開発している商品をどこで売ればいいのか、答えは見つからない」(営業三課・三宅雄一郎さん)


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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