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- 小池都知事は知っているのか~シリーズ五輪の影③~
▲毎年年初に開催されるネプコンジャパンで、三幸通商はその年の営業方針を決める
展示会を営業の場としている中小企業は非常に多い。海外まで行かずとも、顧客の側から会いに来てくれるからだ。
電子基板用の検査装置を製造する三幸通商(東京都中央区)は、毎年1月に開催される電子部品、半導体装置、それらの検査機器などの展示会『ネプコンジャパン』に出展する。1月、2月は企業が来期の予算決めをする時期であり、ここでの成果が来期の売り上げを決めている。「ネプコンジャパンで1年間の動き方が決まるんだ」と話すのは、検査装置事業部の鈴木正人さんだ。
毎年2億~3億円の商談がネプコンジャパンをきっかけに成立し、それは検査装置事業部の年間売り上げの7割を支えている。
4年前に会場で出会った米国の商社とは、現在年間1億円近い取引がある。昨年も欧州の顧客と商談が成立し、6000万円を受注した。海外まで営業に回らなくても、顧客の側が技術を求めて日本に来てくれる。「海外に拠点がなかったり営業体制を整えられない中小企業にとって、展示会は他に代え難いもの」と話す。
オリンピック競技会場の報道を見ていると、しらけてしまうことがある。新しい会場は税金で作られるのに、税金を納める自分たちは、商売の場所を失うことになる。
「中小企業は、一社で顧客を集められないから展示会に出展する。たくさんの企業が集まるから顧客も『行ってみよう』となる。大きな会場でなければこれは成立しない。東京ビッグサイトでの展示会が中小企業には必要だ。ビッグサイトを使用できなくなれば、中小企業は窮地に立つ。事の重大さを小池都知事に一刻も早く知ってほしい」
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。