▲200人のデモ隊は都庁職員や周辺のサラリーマンの昼休みを狙い、およそ45分間、都庁の周りで声をあげた

デモ、3回目 いまだ認識広がらず

▲MICE振興を掲げる安倍政権に望みを託すメッセージも

2020オリンピック・パラリンピック開催期間の東京ビッグサイト民間利用を求める展示会産業で働く人々の生活と雇用を守る会が、2月15日、東京都庁を一周するデモ行進を行った。3回目となる今回は200人が参加したが、都民に問題の存在が知られていない実態も見えてきた。

12時15分に始まったデモは、昼休みで外に出た多くのサラリーマンの目に留まった。西新宿のIT企業に勤務する40代の男性サラリーマンは、突如始まったデモ行進に目を丸くしながら、「今初めてビッグサイトの問題を知ったが、考えてみれば、そういうことも起こりうるのかもしれない」と話した。これまでビッグサイトに行ったことはなく、展示会に参加した経験もないという。

ビッグサイトで開催されたスポーツウェアの販売会に参加したことがあるという、制服姿の40代女性二人組は、展示会そのものがピンとこない様子で、「ビッグサイトで普段何が行われているのか、まったく知らない」と答えた。その他、デモ隊に目を留めたサラリーマンなど総勢5組に話を聞いたが、ビッグサイト問題について知る人は一人もいなかった。

デモ隊を眺める人の中には、都で展示会産業を所管する、産業労働局商工部・中小企業振興対策担当、伏見充明課長の姿もあった。本紙の取材に対して「問題が解決されたとは思っていない。使用できる期間については決定済みだが、可能な限り多くの展示会が開催できるように最後まで調整を図っていく」と答え、利用期間については決定済みであることを淡々と話した。

多くの都民は、ビッグサイトで幅広い産業の展示会が開催され、活発な経済活動が行われていることを知らない。「水産業界には築地の代わりに豊洲が用意されているのに、多くの産業の市が立つビッグサイトの代替施設がどうして認められないんだ」(デモ参加者)。展示会関係者にとって当たり前の主張も、大多数の都民には実感が伴わない。

 

▲「築地には豊洲があるが、我々にはない」というメッセージは、多くの都民に認識されていない

2019年の準備期間から含めるとビッグサイトの民間利用は床面積ベースで、20カ月で30%強縮小される。それによる経済活動の損失は一概には表せないが、本紙の試算では、先日開催されたジュエリー業界の展示会国際宝飾展(東京ビッグサイト1/24~27の4日間)だけで、100億円規模の商取引が行われていた可能性を確認できた(2月10日号掲載)。実態に対する認識が広がらないことへのいら立ちからか、デモ隊のプラカードには、安倍首相や小池都知事に英断を求める言葉も並んだ。政治による解決を参加者たちは、待ち望んでいる。

 


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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