展示会からウェビナー営業に切り替え コストダウン・二次利用可で「費用対効果高い」【リード獲得100本連載】A・R・P(神奈川県秦野市)
- 2022/3/8
- オンライン展示会
ハードウエアやソフトウエアを設計開発
A・R・P(神奈川県秦野市)
食品から医療・福祉まで、さまざまな業種のハードウエアやソフトウエアの設計開発を行っているのがA・R・P(神奈川県秦野市)だ。社名の由来は「All Round Player」。以前は展示会に出展し、新規顧客を獲得していたが、昨年からウェビナー営業へと切り替えたという。その理由は何か、マーケティング部の福岡達也部長に話を聞いた。
ー新型コロナウイルス以前は展示会へ出展していたと聞きましたが、どのような展示会に出展していましたか
「組込みシステム開発技術展(Japan IT Week 内)」や「次世代農業EXPO(農業Week 内)」、「国際ロボット展」など、年に3~4回は展示会に出展していました。我が社のターゲット層の1つである食品業界の展示会にも出展したいと思っていましたが、人気の展示会なので出展できないことも多かったです。(一社)日本食品機械工業会(東京都港区)が主催する「FOOMA JAPAN」は会員優先なので、会員でない我が社は申し込みをしても出展できないこともありました。展示会の予算は年間で1000万円を見込んでおり、1回の展示会でおよそ300万円かけていました。
ーそこまで力を入れていたのに、なぜ展示会営業を止めたのでしょうか
コロナの影響が強かったためです。2020年までは展示会に出展していたのですが、いつ展示会が中止になってもおかしくないというリスクを抱えながら、途中で出展をキャンセルすると出展料は戻ってこないという状況は非常につらいものでした。無事に開催されても以前より来場者数も少ないものが多く、コロナ下が続く限りリアルな展示会で新規営業を行うことは難しいと考えました。
そこで新たに検討したのがオンライン展示会でした。実際に、ハイブリッド開催された「組込みシステム開発技術展」にオンライン出展しましたが、成果を感じられませんでした。資料のダウンロードや来場者とのチャット機能もあったのですが、オンラインの来場者自体が少なく、機能していませんでした。他にもさまざまなオンライン展示会に参加しましたが、オンライン展示会の出展ブースに掲載されている情報は企業のウェブサイトに掲載されているものばかりで、オンライン展示会がなくとも自分で調べれば獲得できるように思えました。これでは、わざわざ出展するメリットがないと思いました。
ーそこでウェビナー営業に切り替えたのですね
『アペルザTV』というウェビナー配信サービスを利用しています。2021年7月にアペルザ(横浜市)からオンラインイベントのDMが届き、試しに参加してみたところ、対談形式で最後まで楽しんで視聴することができました。通常の商品紹介動画は飽きてしまうのですが、こうしたウェビナー形式の動画だと飽きがこなかったのです。
展示会をオンラインにするのは難しくても、セミナーをオンラインにするのは可能なのだと実感しました。ウェビナー動画の制作は、構成から編集までアペルザが行ってくれるので、こちらの負担にもなりません。「何を売りたいか」をしっかり理解して構成してくれ、ナビゲーターとの掛け合いがうまくできているので見やすいと思います。最初に配信した食品工場の自動化に関するウェビナーは、視聴継続率80%と非常に高い結果となりました。
ー展示会と同じくらい多くのリード情報が獲得できていますか
数でいえば展示会の方が多いのですが、商談につながる件数でみるとウェビナーの方が費用対効果が高いです。展示会は300万円かけて200~300件のリード情報が手に入ります。そのうちホットリードは20~30件、そこから具体的な商談につながるのは2~3件です。リード総数に対して100分の1程度の割合です。ウェビナーは展示会出展1回分よりも安い費用で30分程度のものが4回配信され、1回の配信で1件の商談につながっています。
初回の配信ではアペルザの顧客リストに対してメールで集客が行われるので、我が社のリストにない顧客とマッチングできる可能性もありました。また、初回配信の1週間後からアーカイブによる配信も実施されるので自社の顧客リストや取引先代理店にDMを送ったところ、ウェビナーを見て関心を持ってくれた食品加工装置のメーカーから問い合わせがありました。さらに、配信が終わった後も追加費用なしでアペルザTV上にウェビナー動画が残るので、社員教育用などとして二次利用することもできます。そうそう短期で成果が出るものではないと思いますが、費用対効果から考えると、展示会よりもウェビナーの方がいいと思っています。
ー今後はどのような展開を考えていますか
マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを活用していきたいと思っています。最近、我が社も2年越しでプッシュされていた、製造業に特化したMAツールをようやく導入しました。我が社も、見込み顧客に対してしっかりと営業を続けられるような体制にしていきたいと思っています。これまで展示会で集めたリード情報が5000~6000件あるのですが、情報管理が属人化しており、適切なアプローチができていませんでした。こうした機会損失がないようにMAツールを活用し、営業をかけていきたいと思っています。