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デモ とがめにくい
- 2017/7/10
- トーガシ
▲トーガシ(東京都江東区)吉田守克社長(58)
採用でもビッグサイト問題の影響
「展示会産業で働く人々の生活と雇用を守る会」のデモには、展示会のブースデザインや施工に関わるディスプレイ業者の社員が多数参加した。ディスプレイ会社の業界団体である東京ディスプレイ協同組合(東京都中央区)の理事長に、先月再任されたばかりの吉田守克氏は、自身が社長を務めるトーガシ(東京都江東区)からも、複数の社員が参加したという報告を受けた。状況に対し吉田社長は「不利益を払いのけようとする個人の行動を咎めることはできない」と話した。
2015年11月に、20カ月のビッグサイト利用制限が発表されて以降、吉田社長の元には制限の撤廃に向けて都に働きかけるよう要望する業界関係者が多数訪れたという。今回、デモ参加者から状況を打開できない上層部に対する不満の声も聞かれたことについては「解決に向けて一層努力する」と述べた。
一方で、ビッグサイト問題の影響は予想していない部分にも現れているという。吉田社長はトーガシの新入社員面接の場で、学生から「ビッグサイト問題の影響はないのか」と尋ねられることが増えた。「同業、異業に関わらず激しい人材争奪戦を行っている採用の現場では、相当な痛手となっている」(吉田社長)
業界団体を率いる立場としては、今のままでは職人の流出も大きな懸念材料になる。これまで、リーマン・ショックなど仕事が激減するタイミングで、経験の豊富な職人が展示会を離れていった。一度離れた職員が戻るケースは極めて稀だ。五輪後はビッグサイトの会場規模が従来の1・5倍になる。たとえ案件が増えたとしても、人手が足りず受注できない可能性もあるという。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。