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食い違う2者の主張
- 2017/1/11
- 東京オリンピック・パラリンピック, 東京ビッグサイト会場問題, 東京都
組織委 既存は東京都 東京都 仮説は組織委
五輪開催の運営は、都のオリンピック・パラリンピック準備局と、組織委員会の2つの組織が分担して行う。ビッグサイトのような運営会場と競技場についての分担は、その施設が恒久施設か仮設施設かによって役回りが分かれる。
基本的には、五輪開催を目的とする施設や工事に関しては組織委員会、五輪開催後も継続して活用する施設や工事に関しては都が主体となっている。ビッグサイトは五輪開催のために新設した施設ではなく、五輪開催後も展示会開催などに活用する施設であることから、責任の主体は都にあることになる。
だが、都のオリンピック準備局にビッグサイト改修工事について聞いてみると、工事についての詳細は「組織委員会が把握しているので、都ではわからない」と話す。
こうした問題が起こる理由として、ビッグサイトの改修工事は、あくまでIBCとMPCを受け入れるための工事であり、恒久にあたらないとする考えがあるようだ。
五輪運営にビッグサイトを使用することは、招致活動中の13年1月に作成された『立候補ファイル』に明記されている。当時、ビッグサイトはIBC、MPCのほか、レスリングなどの3競技も開催される予定だった。当初の計画では、3競技とIBCを現在のビッグサイトの東・西棟で使用し、MPCは現在建設計画が組まれている西展示棟の南に新設する新展示棟に設置するとされていた。
このことは、立候補ファイルの会場工事費用の項目にも記載がある。当初は、新設する新展示棟は恒久工事として都が負担。予算は144億円と試算していた。
その後、14年11月に舛添要一前都知事が五輪会場に関する予算が当初計画の約3倍になる見込みを発表し、新展示場の費用も228億円へと膨れ上がった。これにより、新設会場についての見直しが行われ、ビッグサイトで実施予定だった3競技は別会場へと移転。ビッグサイトはIBC、MPCのみが使用することになり、新展示棟の建設計画は都独自の事業として五輪計画から外された。
残っているのは、IBC、MPCを受け入れるために行われる仮設工事だけだ。改修費用は立候補ファイル時点で33億円で、組織委員会が負担すると明記されている。21日に発表された再予算案では、ビッグサイトの仮設工事費用の詳細は明らかにされていない。
本紙が組織委員会に工事に関する詳細を問いたところ、「ビッグサイトは東京都の管轄になるので、都に問い合わせてほしい」と答えるのみで、責任の所在はいまだ明らかにならない。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。