認知向上のため新聞に広告出稿、DMMオンライン展示会では93社にリーチ【リード獲得100本連載】 画屋(大阪府豊中市)

販促用のキャラクターや漫画、動画を制作
画屋(かくや・大阪府豊中市)

▲販促用のキャラクターや漫画、動画を制作する

 販促用のキャラクターや漫画制作を行う画屋(かくや・大阪府豊中市)は社員4人、営業は社長1人のみという小規模体制ながら、2002年の創業からこれまでに1000件以上の制作実績を誇っている。中小企業向けのイラスト制作という限られた商材でいかにして売上を上げているのか。リード獲得術を小川満洋社長に聞いた。

▲画屋(大阪府豊中市)の小川満洋社長

―ターゲットはどのような企業なのでしょうか

 地元に根付いた中規模のメーカーが多いです。年商10億円程度で、従業員数が20~100人程度の会社です。販促のためにオリジナルキャラクターを制作したり、漫画を制作するというケースがほとんどです。

 ただし、営業ターゲットでいえば中小規模のセールスプロモーション会社になります。プロモーション会社が地元のメーカーに漫画を使った企画を提案し、採用されると、我が社に依頼が来るという流れが多いです。そのため、各地のセールスプロモーション会社とのつながりが重要になっています。販促物の制作を自社で行っているメーカーから直接依頼が来ることもありますが、セールスプロモーション会社経由の仕事が割合としては高いです。

―どのような営業活動を行っていますか

 認知の獲得と商談の獲得という2つのフェーズにわけて、それぞれ営業を展開しています。まずは広告による認知の獲得です。漫画やオリジナルキャラクターの制作は、今やセールスプロモーションとしては一般的な手法として認知されています。

 企業が依頼したいと思ったときに我が社に問い合わせをしてもらうために、まずは「画屋」という会社を覚えてもらうことが重要なのです。そのために、鉄道車両や新聞に広告を出稿しています。また、直接的な商談を増やすために、展示会や交流会に参加しています。

―広告にかけている予算はいくらぐらいですか

 年間で約50万円です。大阪メトロ・御堂筋線の淀屋橋駅に2年間で10カ所の広告を出しています。また、2021年の年末には産経新聞の地方版に3回、全面広告を出しました。どちらもすぐに効果が出るものではないのですが、こうしたところで広告を出しているということが信用につながり、問い合わせをもらうこともあります。競合も多い市場なので、しっかりと認知度を高め、信用を獲得するために必要な施策だと思っています。

―ウェブマーケティングは行っていないのですか

 今後本格的に実施していきたいと思っていますが、これは認知の獲得のためではなく、具体的な商談の獲得のためにするものだと思っています。現状の問い合わせもほとんどがHPからなので、しっかりとランディングページを制作して、SEO対策を取っていきたいと思っています。

―展示会にも出展しているそうですが、具体的にどの展示会に出展しましたか

 「クリエイターEXPO(コンテンツ東京内)」と「大阪インターナショナル・ギフト・ショー」の他、地元の中小企業向け展示会に出展しています。以前、大阪市が主催したクリエイティブ支援施策の展示会に別の会社と共同で出展した際には、2日間で50社と名刺を交換し、500部のチラシを全て配布できました。出展費用は10万円でしたが、共同出展だったので費用は半額。新規顧客とのきっかけ作りとしてはいい機会だったと思っています。

 また、1月にDMM.com(東京都港区)が主催したオンライン展示会の「アニメ・ゲームサミット」にも出展しました。アニメの制作会社ではないのですが、我が社が販促用の動画コンテンツ制作サービスも提供していることから、DMM社から出展に誘われたのがきっかけでした。

―オンライン展示会での反応はどうでしたか

 非常によかったです。リアル展示会には2006年から出展していましたが、それとはまったく別の場として、新規顧客が獲得できました。特に来場者の行動履歴が取れるリード情報は貴重で、ブースを訪れた回数や動画の視聴回数、『お気に入り』登録の有無などによって関心度が可視化されるというのがよかったです。会期2日間で93社がブースを訪れ、その中から実際に商談にもつながっています。

 今回は無料での出展でしたが、商談につながる情報を獲得できる場なので、10万円程度なら有料でも出展したいと思いました。アニメやゲーム以外の領域での出展も検討したいと考えています。また、出展者同士のオンライン交流会では、シナリオ制作会社との出会いがあり、協業の基本契約を結ぶことになりました。社内に企画やシナリオを作る人材が不足していたので、その点を補強できると考えています。

▲ウェブ媒体用に漫画を動画化したサービス『コマワリムービー』も開始した

―今後の展望や課題はありますか

 市場の展望で言えば、今後はウェブ向けのニーズが高まっていくと思っています。我が社の売り上げは、チラシなど紙媒体での制作が9割を占めていました。案件数としてはウェブ媒体の方が多いのですが、紙媒体の方が1案件あたりの金額が高い傾向にあります。紙媒体は信頼性が高いというのもありますが、ウェブ媒体向けは価格と制作スピードばかりが重視されがちなので、売り上げとしてはそこまで伸びていないというのが現状です。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で展示会やイベント、そして紙媒体の需要が減少しているため、今後はウェブ媒体が重要になります。我が社も2021年10月からウェブ媒体向けに漫画を動画化した映像コンテンツ『コマワリムービー』の制作を開始しました。3分間の動画で費用は50万~200万程度で販売しており、まだ受注は1件だけですが、今後はこうしたサービスにも注力していきたいと思っています。

―ウェブマーケティングも重要になってくるのでしょうか

 そうですね。今は制作・営業ともに規模が小さいので、どちらも拡大させていかなければなりません。特に、漫画を描ける人材の確保は容易ではありません。漫画家にとっては王道の仕事ではないので、違和感を持たれることも少なくありません。また、営業面ではウェブ広告を強化して案件を増やしていく必要がありますが、単価が下がる中でどうやって安定した売り上げを獲得するかを、早急に構築していく必要があると思っています。

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