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ライブ配信は車の魅力を発信 期待を大きく裏切った展示ブース @東京オートサロン【オンライン展示会】
- 2021/2/14
- DIY・ペット・ホビー, オンライン展示会, 東京オートサロン(TOKYO AUTO SALON), 自動車・バイク
カスタム自動車の展示会「東京オートサロン 2021」は、ライブ配信の特別番組と、バーチャル形式のオンライン展示会として開催され、280社が出展した。楽しいトーク番組が企画されたライブ配信に比べ、オンライン展示会の品質は極めて低かった。
会期:2021年1月15日(金)~17日(日)
アーカイブ期間:通年
主催:東京オートサロン事務局
運営:三栄
出展者数:約280社
1.インターフェースについて
トップページにライブ配信とバーチャル展示会の入場口
2.ライブ配信について
出展者インタビューをリアルタイム配信
3.バーチャル展示会について
パーツカテゴリーの検索できず サイン表示は小さくて読めない
4.展示ブースについて
立体と平面の表現が混在 スポンサーか、主催者からの情報かも不明
5.まとめ
ライブ配信や動画コンテンツは充実も、展示会で情報は得られず
1.インターフェースについて
トップページにライブ配信とバーチャル展示会の入場口
事前登録なしで、ウェブサイトから参加する。トップページでは、ライブ配信動画を視聴する「AUTO SALON TV」と、バーチャル展示会「VIRTUAL AUTO SALON」を選択する。スクロールすると、リアル展示会の開催中止など、主催者が発信した過去のニュースが掲載されていた。
最上部に『開催概要』『イベント』など11項目のバナーが並ぶ。リアル展示会の中止により、クリックできるのは『チケット情報』『オートサロンとは』『グッズ』の3項目に限られていた。
2.ライブ配信について
出展者インタビューをリアルタイム配信
ライブ配信動画を視聴するための「AUTO SALON TV」をクリックすると、番組の配信リストが表示された。
一般公開を予定していた1月16、17日には、無観客の屋外から1日6時間のライブ配信が行われた。MCが出展者をインタビューする形式の番組で、リアル会場に展示される予定だったスペシャルカーについて、話を聞いた。軽快なトークで面白く視聴できた。レースクイーン大賞、レースクイーンによる開会式、閉会式の様子も、リアルタイムで配信された。
3.バーチャル展示会について
パーツカテゴリーの検索できず サイン表示は小さくて読めない
バーチャル展示会「VIRTUAL AUTO SALON」への入場は、出展者名やホール名から検索して行う。パーツなど具体的な製品カテゴリーの検索はできなかった。「協賛社ブース」を押すと、放射状の絨毯の先に、7社のブースらしきものが見えた。しかし、情報の記載がなく、企業名すら分からない状態だった。
玄関口と思われる『3Dエントランス』から入場した。『ルームに入る』をクリックすると、バーチャル空間のトップページが表示された。白いポインターが進む方向を表し、パソコンの矢印ボタンやマウスを使って、空間内を移動する。矢印ボタンを何度か押して、会場近くにたどり着いた。
上部には、2段のモニターが表示されていた。上段の3つには車や人、下段にはホール名が確認できた。ポインタを合わせると何か表示されたが、小さすぎて文字を認識できない。
画面上のボールのようなアイコンをクリックすると、URLのコピーのほか、ハッシュタグやURL入りのTwitter入力画面が現れた。来場者がSNSなどで拡散しやすくするための機能だろう。左上の『設定』では、音声や解像度などの変更ができるが、必要性は分からなかった。
バーチャル空間は360度ビューになっており、背後には屋外休憩所や巨大画面も設置されていた。下の方に見える客席をクリックしても何も起きなかったが、巨大画面からは先ほどの「AUTO SALON TV」や、トップページに移動できた。ビジュアルのインパクトは強いが、意味のないリンクのように感じた。
4.展示ブースについて
立体と平面の表現が混在 スポンサーか、主催者からの情報かも不明
前画面に戻り、小さく車が映るモニターをクリックすると、動画が再生された。主催者か、特定の企業のものか判断がつかず、再生時間の目安も分からない。見るうちにスポンサーの動画だと判明し、最後にスポンサーのバーチャルブースが表示された。3Dのような車が配置されていたが、近くに寄ると形が崩れてしまった。車をクリックしても何も変化はなく、車体情報も探し出せなかった。
トップページに戻り、もう1つの車が映る画面をクリックすると、別のスポンサーのブースに入った。モニターが4つ配置されており、10本以上のオリジナル動画リストやYouTubeへ移動できるようになっていた。ここまでたどり着くのは難しいが、有名なDJを起用するなど興味深い動画が多かった。
一般の出展者が並ぶホールの状況は、さらに厳しい。空間は立体を表現しているにも関わらず、車体や展示物は平面で表現されている。残念な印象は否めない。
ブースごとに作りが異なり、何を展示しているのか判別するのに時間がかかる。ダウンロードできる出展者情報のPDFは、文字情報だけだった。せめて車の画像も入れた方が良いのではないだろうか。
『ブース一覧リスト』をクリックすると、出展者名が一覧で表示される。だが、社名が羅列されているだけでリンクの設定もされていないので、索引や回遊を生むのはは難しい。
同じホールに誰かが入退室すると、画面の隅に名前が現れる。他者を感じさせる唯一の機能だが、短時間に入退室を繰り返す人が多く、長時間の滞在は難しいブース展開になっているようだった。
スマホでは、パソコンとは異なる操作様式になっていた。丸いコントローラーが2つ現れ、指二本で操作を行う。スマホ用のゲームなどに取り入れられている機能のようだが、画面が小さいため、ブースの回遊には適していなかった。
5.まとめ
ライブ配信や動画コンテンツは充実も、展示会で情報は得られず
バーチャル展示会は、情報の伝え方が根本的に間違っているように感じた。車体、出展者のどちらの情報も、ほとんど得ることができない。バーチャルにこだわらず、カタログ形式の方が向いていたのではないだろうか。
一方、ライブ配信やスポンサーのイベント用動画は、面白く視聴することができた。バーチャル空間よりも、車の魅力を的確に伝えていたからだ。各出展者の担当者の「顔」と「車体」を動画でしっかり紹介するのが、このバーチャル展示会の役目だったのではないかと感じた。