展示会は現場の担当者から商材・試作品への意見を聞く貴重な場[口コミ]@バリアフリー 前編

展示会名:第27回 バリアフリー 2021
会期:2021年8月25日(水)~27日(金)
会場:インテックス大阪 6号館A
主催:(社福)大阪府社会福祉協議会、テレビ大阪、テレビ大阪エクスプロ
出展者数・小間数:180社・357小間
来場者数:1万1406人
同時開催:第11回 慢性期医療展 2021、第6回 看護未来展 2021

 高齢者や障がい者の福祉に関する展示会「バリアフリー」には、施設や在宅介護の担当者、責任者、ケアマネジャー、レンタル業者が集まった。障がいを持ち車いすに乗った来場者も目立ち、他の展示会とは異なる来場者層に驚く出展者も多かった。新型コロナウイルスの影響下で、DMや動画を配信して新規顧客の獲得を目指す企業もある一方、展示会の場やレンタルで実物を試してもらい、オンラインで営業する手法が主流になっているようだ。また、展示会を現場の担当者から試作品への意見を聞く貴重な場と捉える企業もあった。


新規獲得のメインは展示会

ワクレア(神戸市)

 浴室や入浴関連の商品、介護向け商品を販売、不動産の賃貸経営を行っており、3ミクロンという小さな気泡を活用したマイクロバブルバスを紹介した。一般家庭向けだが、介護の現場にも販路を広げている。機械浴を中心とする特別養護老人ホームなどでも、横になった状態で浸かっているだけで入浴ができる。また、せっけんなどを使わずに、皮脂や毛穴の汚れを落とせるので、高齢者の肌に優しく、高齢者特有の体臭も抑えられることで、保湿ケアをしなくて済むとの現場からの声もある。

 この展示会は介護に特化しているということで、販路を広げたいと考え初めて出展した。在宅サービスを支援する業者やエンドユーザーである一般来場者が多いのに驚いた。「こういう入浴設備を待っていた」と話す、障がいを持つ来場者もいた。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下なので、あまり期待はしていなかったが、具体的な話ができる決済権のある来場者が予想より少ない。

 設備のポイントを動画にし、実際に機器を送り、Zoomなどで使い方を案内するといったオンライン営業も進めているが、新規獲得のメインは展示会だ。


新規営業はインサイドセールス、広告、展示会の3本柱

Chatwork(東京都港区)

 ビジネスコミュニケーションツール、Chatwork(チャットワーク)の開発運営やセキュリティソフトウエアを販売する。介護現場での導入を目指し、この展示会に初めて出展した。今のところLINEで情報共有をする現場も多い。プライベートツールのLINEでいいのかという疑問や個人情報を扱うためセキュリティ面に不安を感じるという声がある。Chatworkを利用すれば、シンプルで使いやすく、セキュリティも機能し、報告や伝達の漏れを防ぎ、情報共有しやすいのが強みだ。

 ブースには、介護や福祉の現場担当者と経営者の両方が訪れた。『一歩先の働き方』という広告で、3年前くらいから利用を伸ばしており、今回は、訪問介護の現場で使えることを重点的に案内した。もちろん、ビジネスツールなのでどの業界でも使える。新規獲得の営業方法は、インサイドセールス、広告、展示会の3本を柱とする。


体感や比較ができるのは展示会

シーホネンス(大阪市)

 医療・介護施設、在宅介護用の電動ベッドの製造販売や移乗用リフトの施工、販売をしており、この展示会には開始当初から出展し続けている。今回ブースには、2020年9月に発売した在宅介護向けの電動ベッドを並べ、アピールした。医療向けと介護向けではベッドの性能が異なるため、医療施設で培ったノウハウを生かして介護現場で使えるように自社設計し商品化した。多くの高齢者が危惧されている誤嚥性肺炎のリスクを低減するには、喉を立てて食べる姿勢が大切で、このベッドの電動ヘッドレストは最大50度まで起こすことができる。脚上げも可能で、前ズレを防止し、骨盤をしっかり立たせて上体を起こした座位にスライドすることもできる。また、業界最小の設置面積で、部屋のスペースを有効に活用することができる。操作する手元スイッチは液晶で見やすく、音声ガイダンスが付いているのも業界初だ。

 ブースには、福祉機器のレンタル会社や特にケアマネジャーが多く訪れた。実際の寝心地や操作方法を自ら確認しているケアマネジャーもおり、職業柄、知らないものを在宅介護の家庭へ案内できないと考えているようだ。そういった点で、体感や比較ができるのは展示会なのだろう。

 コロナ下の発売で、なかなか案内ができなかったが、希望があれば車で運んで現物を見てもらうようにしている。利用者に試してもらうのが一番なので、レンタルもしている。配信している動画を見て「使ってみたい」という声も多く、そこから新たな顧客につなげている。


展示会は現場担当者に試作品の意見を聞く場

ケアファッション(大阪市)

 高齢者向けの衣料品や介護衣料品を企画販売しており、西宮協立リハビリテーション病院と共同開発した、お尻にひっかからない『おしりスルッとパンツ』をメインで展示した。販売から4年半経つが、初めて知るという施設の人もいた。理学療法の視点から「手が後ろに回らない」「ズボンを上げる時にお尻にひっかかる」「ズリ落ちる」などの悩みを解消し、着用する本人と介助する人、それぞれに負担のかからないパンツだ。片手でもはけるので半身麻痺の人も利用できる。「できなかったことができる」ことで外出もしやすくなり、社会参加にもつながる。

 展示会というと、一般的に新製品お披露目の場だが、数年前から我が社は展示会を、来場する現場の担当者に試作品の意見を聞く場と捉え、商品の改良に反映している。実際にかなり参考になり、今回は車いすで着用するズボンや、寝たきりの人のためのズボンの試作品を見てもらった。

 高齢者の衣料品の販路を広げることを重視しており、通販だけでなく、百貨店や総合スーパー、スーパーマーケットなどもターゲットにしている。実際に現物に触れることができる売り場は少ないが、需要はある。2021年の春からイトーヨーカドーの売場で販売を始めた。新規開拓というのはこういうことだろう。

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