人手不足対策や負担軽減ツールに注目[口コミ]@アグロ・イノベーション 前編
- 2020/1/7
開催日程:2020年11月11日(水)〜13日(金)
会場:東京ビッグサイト 青海展示場A
主催:日本能率協会
出展者数:134社
来場者数:5806人
農業生産から収穫、加工、流通までの幅広い分野を網羅する「アグロ・イノベーション」には、農機メーカーや農家、自治体、商社、飲食店経営者らが来場した。農業分野における顕著な人手不足を背景に、農薬散布や選別といった生産から出荷までの行程における負担軽減や業務効率化に関する製品やサービスに注目が集まった。
また、2回目となる「鳥獣対策・ジビエ利活用展」は、差別化を図りたい飲食事業者や食品メーカーが新たな食材としてジビエに注目し、にぎわいを見せた。ジビエを推奨する国の政策も追い風になっているようだ。
新型コロナの影響で特に個人農家の来場が減ったものの、出展者からは目的意識を持った来場者が多いという声が多かった。
来場者半減も質は高い
小泉製麻(神戸市)
繊維資材メーカーで、この展示会には5回以上出展している。例年だと年間4~5つの展示会に出展するが、今年は「農業Week」とここだけだ。熱エネルギーを用いて泡状の液体で雑草を処理する装置を展示した。例年のブース来場者は農業生産者が多いが、今回は少ない。ターゲットはインフラ関連で、実際に高速道路のNEXCOや鉄道などの関係者が訪れた。インフラ関係者の悩みは、農耕地に隣接する場所が多いため農薬が散布しにくいこと。また長年の散布で土が痩せ、管理しづらい雑草種がはびる事例がここ数年問題視されている。
主催者の発表だと、来場者数は昨年の半分くらいだが、ブースに来てくれる人数はほぼ同じで、手応えがある。新型コロナがおさまらない中で目的を持って来場している人が多く、来場者の質は非常に高い。1日2~3件は即購入したいという人がいた。実際に現場で使用したときに思った通りじゃないと言われないよう、展示会などの場でしっかり情報を伝えている。
具体的な課題抱えた来場者多い
トーカロ(神戸市)
溶射を中心とした各種表面処理の総合メーカーで、出展は2回目となる。農業機械・化学メーカー、農場経営者、大学教授や学生らといった、さまざまな人がブースに来場した。ターゲットは機械メーカーやプラントメーカー、メンテナンス業者で、想定通りの来場があった。農業とは全く異なる業界の人とも仕事になりそうな案件もあった。意外なところでは、イラクとウズベキスタンの農業関係者が日本の機材を調査しに来ていた。
今回の展示では、気孔や細孔を使ってバブルを作り出すことのできる技術が注目を集めた。来場者からは、農業機械に泥や雑草が付着することで作業効率が下がる問題を解決したいという声が多い。来場者は少ないながらも、具体的な課題を抱えている来場者が多く、中身の濃さとしては昨年と同等だ。
農協関係者が全国から来場
日建リース工業(東京都千代田区)
建設用の鋼製軽量仮設資材などをリースしており、2回目の出展となる。ブースには農協、農業法人、農機メーカーなどが来場した。特に農協関係者は関東エリアだけでなく、九州や中部など全国から来ていた。来場者の多くは、リースしたコンテナの紛失対策を求めている。そこで、ICタグで管理できるコンテナを開発した。
現場では、まだ従来の段ボール輸送が多く浸透していないので、全国の農協に声を掛けている。意外なところでは、青果だけでなく花き関連の人も興味を持ってくれた。
予想以上に多い来場者に驚き
三和陸運(福岡市)
物流業で今回初めて出展した。花業界の物流システムをPRするのが出展の目的だ。花の生産量や出荷量が減り、輸送トラック1台分に満たないにもかかわらず、運賃は変わらないため、花農家にとって運送費用が負担となっている。そうした個人農家の生産物を集めてトラック1台分にすることで物流コストを抑えるサービスだ。花の生産者、農業関係者、資材メーカーが来場した。全く取引のない種苗業界の人からも、物流に関する相談があった。
出展前は新型コロナの影響で誰も来ない、見向きもされないだろうと思っていた。しかし予想以上に興味を持ってくれる人がいた。逆にこんなに来るものかと驚いている。名刺交換したのは最終日の昼過ぎまでに80~90枚だ。
商社とのつながりができ大きな収穫
親和パッケージ(神戸市)
コンテナ輸送容器・プラント輸出梱包・エアー緩衝材などのメーカーで、主に物流業界に向けて輸送用の保管ケースなどを製造している。販路を拡大のために初めて出展し、スチール容器や高さを調節できるラックを紹介した。スチール容器は安価な点が好評で、今回の収穫の1つだ。
来場者は、新商材を探しに来ている農業関連の商社が多く、ターゲットだった農家はあまりいなかった。農家と直接取引したかったが、商社とのつながりはできたので、そこから製品を広めたい。手応えとしては微妙で、名刺交換は初日と2日目で140枚ほど。最終日は一番少なく、60枚に手が届くかどうかというところだ。意外なところでは、全く違う分野の、発電所の所長が興味を示してくた。