来場者数は減少傾向も キーマンの来場数は例年とほぼ同じ[口コミ]@N+(エヌプラス) 前編
- 2020/12/19
会期:2020年11月4日(水)~11月6日(金)
会場:東京ビッグサイト 南4
主催:高機能化推進協議会
出展者数:137社
来場者数:1万1276人
製造業向け先端技術の展示会には、新たな業界との出会いを求めて、プラスチック、不織布、抗菌素材、コーティング・表面処理、接着・接合、耐熱・放熱、加工技術などが出展した。来場者は減少したというものの、手応えは例年通りという出展者の声が聞かれた。
ターゲット層の来場少なく手応え薄い 売り込みも多い
精電舎電子工業(東京都荒川区)
プラスチック溶着・溶断、金属接合機の専業メーカーで、今回が初出展だ。主にマスクなど不織布を扱うメーカー向けに超音波ミシンを展示した。新たな取り組みがどれだけ受け入れられるか測るために出展した。市場には中国製や台湾製の安価な超音波ミシンも出回っているが、故障が多いため、国産に切り替えたいいう声もあった。
不織布の生産現場の人をターゲットとにしてきたが、少なかった。反対に、基板やケーブルなどの部品メーカー、コンサルタントが売り込みに多く訪れた。名刺交換は1日平均40枚ほどで、手応えとしては物足りない。
ターゲット通りの来場者多く手応えを感じる
ハマダ工商(愛知県岡崎市)
各種金型の設計制作を行っており、10回以上出展している。製造業全般がブースにやって来た。ターゲットは金属や樹脂加工関連で想定通り。航空業界の関係者の姿もあった。特に今後さらに需要が高まるであろう航空宇宙、ドローン、EV車などの分野において、部品の軽量化が求められている。それ以外にも「こういう形状のものを作れますか」といった問い合わせもある。
意外な要望としては、施工事例として展示していたダーツの矢を見て、吹き矢の競技団体の関係者から「似たようなものを作りたい」と言われた。ブースへの来場者数は予想以上で、手応えは昨年よりもある。名刺交換は1日平均で30~50枚ほど。
技術動向や情報交換ができ、出展の目的は達成
信越化学工業(東京都千代田区)
塩化ビニール樹脂や半導体シリコンを製造しており、部署としては初出展だ。主にモーターに用いられる磁石を扱っているので、航空機の電動化の流れの中で、既存客への認知度アップに加えて、将来への種まきが出展の目的だ。航空機の電動化はまだこれからの分野で、情報交換も目的の1つだ。
ターゲットは航空機製造メーカーだが、ほとんど姿を見なかった。その意味では空振りだが、新しい技術動向を確認でき、情報交換もできたので、当初の目的は達成できた。ブースへの来場者は自動車関連の既存客が多い。接点のないところからも声はかかるが、磁石を使わない業界であることが多く、あまり話ができなかった。
Vポートへの一定の理解得られたのが収穫 生の声が聞けてよかった
エアロファシリティー(東京都港区)
ヘリポートの建設・設計・管理を行っている。展示会の出展自体が初めてだ。将来、空飛ぶ車が普及するにあたって、Vポートも普及するであろうことを見越して、これを周知するために出展した。
Vポートを目当てに来場する人はまずいない。デベロッパーと出会えればと思ったが、ほとんどいなかった。航空の要素技術や部品などの生産関連の人が多い。すぐに仕事につながるとは考えていなかったので、来場者から一定の理解を得られたのが収穫だ。認知度を上げていく必要性が分かった。生の声が聞けてよかった。
客足は鈍いが、うまくアピールできた
日本電気(東京都港区)
出展は5回目で、準天頂衛星システム『みちびき』を国主導のインフラ整備事業として紹介した。現在「みちびき」の衛星は4基だが、寿命が15年ほどで、近い将来10基以打ち上げる予定だ。衛星の本体は三菱電機(東京都千代田区)が造り、プロジェクト自体は我が社主体で、認知拡大のために活動している。
特に、位置情報と親和性の高いドローンに力を入れ、農業や物流分野での用途に期待している。『みちびき』はGPSと互換性があり、GPSの精度を向上させ、センチ級ならば誤差が5センチ以内になる。例えば農業分野でドローンの位置の精度が上がれば、農薬散布が短時間で、農薬も少なくて済む。また『みちびき』は高さも分かるので、受信機を備え付けたブイを海に浮かべることで、波情報を漁業や海洋調査に生かせると期待されている。GPSでいいという声もあるが、アメリカ合衆国が運用しているシステムを利用させてもらっているだけなので、各国とも、自国で位置情報を得るための衛星を上げようとしている。
「SATEX(衛星測位・位置情報展)」で出展したが、位置情報を目的に見に来る人は少ない。ただ、位置情報というキーワードでさまざまな業界の人が来てくれた。全体的な手応えとしては上々だ。技術寄りの展示会なので、技術系の来場者がコンセプトを会社に持ち帰り、何らかの製品開発に生かしてほしい。新型コロナの関係もあって客足は鈍いが、うまくアピールできた。