▲今年4月に開催された「姫路城観桜会」。5万3000人が参加した

全国名城めぐりに夢中

全国100名城スタンプラリー 1913人が達成

日本城郭協会(東京都品川区)やディスプレイ大手のムラヤマ(同江東区)などが主催するお城EXPO2017が22~24日、パシフィコ横浜で開かれた。昨年は初開催ながら1万8823人が来場し、今年は地方自治体など出展者が増加した。

団塊の世代、若年層、外国人・・・

全国各地で城めぐりを楽しむ愛好家が増えていることがイベントを下支えしている。
「姫路城は石垣を見るのが楽しい。数十人が城主となった歴史があり、戦国時代から江戸時代までの建築の歴史が見て取れる」。
そう語るのは、都内在住のサラリーマン・横地淳さんだ。8月に初めて姫路城を訪れた。昨年、歴史好きの妻が購入した、日本の城情報をまとめた観光本「日本100名城」を見たのをきっかけに夫婦で城めぐりを始めた。

これまで訪れたのは8城。

各城の城主や歴史を学び、現地で記念撮影とスタンプラリーを楽しむ。城めぐりにかけた旅行費は30万円を超えたという。
こうしたマニアックな旅行に熱をあげる愛好家は、今なお増え続けている。

「お城EXPO」開催のきっかけとなった「日本100名城」の発行部数は40万冊を突破。すべての城でスタンプを押して日本城郭協会に申請すると、登城達成者として認定される仕組みとなっているが、現在の認定者は1913人。書籍の発行は2006年だが、新たな認定申請が今も届く。

同協会の中島陽子さんは「今日も4件の申請があった。書籍の販売から4カ月ですべての城を回る人もいたが、特に認定が増えたのは5年ほど前。認定者の76%が日本人男性、15%が女性。外国人は1%で、夫婦連名での認定者が8%いる」と話す。

近年になって注目を浴びるお城めぐりだが、ブームとなるのは今回が2回目だ。1回目のブームは1980年ごろのこと。戦後の復興もひと段落し、戦災で失われた各地の城の天守の復興がはじまり、バブル期になると自治体によるふるさと創生事業が加速した。

同協会の加藤良明常務は「当時は自治体と、本当の城好きのみがブームを担っていた」と語る。
現在のブームの中心にいるのは団塊の世代の男性だが、女性や若者、外国人など、裾野は広がっている。

加藤常務は「100名城のスタンプラリーに加えて、姫路城の平成の大修理や大河ドラマ、各地の観光誘致策により城に対する関心が集まるようになっている。昨年のお城EXPOでは30~50代の来場が多かったが、男女比は6対4だった」と話す。
加えて、来場者の4分の1となるおよそ5000人が100名城のうち半分以上を訪れていたというのだから、地方の観光産業としては放っておくわけにもいかない。

▲「続日本100名城」は身近なところにも。ペリー率いる米国軍艦に対抗するため江戸幕府が築造した「品川台場」はお台場海浜公園内にある

▲「続日本100名城」は身近なところにも。ペリー率いる米国軍艦に対抗するため江戸幕府が築造した「品川台場」はお台場海浜公園内にある

地方自治体、外国人客呼び込み狙う

今年のお城EXPOに初出展した東京都八王子市は、16年にスマホアプリ「AR滝山城跡」をリリースした。滝山城は戦国時代に市内にあった山城で、日本城郭協会が今年新たに発表した「続日本100名城」に選出された。アプリを起動して滝山城跡を訪れると、スマホ上には450年前の滝山城の様子が映し出される。同EXPOに来場した愛好家にアピールし、市内への観光につなげる狙いだ。

同市の柴田さんは「八王子市には滝山城跡に加え、日本100名城に選ばれた『八王子城跡』もある。近年の高尾山ブームの影響もあって外国人も増えていると聞く」と語る。

お城めぐりによる観光客は、全国でも如実に増加している。姫路観光コンベンションビューロー(姫路市)によると、今年の姫路城の来場者は約170万人に上るという。5年前には年間80万~90万人だったが、大改修が終わった15年には200万人を突破。
それまで年配客が多かったが、近年は台湾やスペイン、アメリカなど外国人観光客も増えているという。名古屋城も昨年、来場者数が前年より30万人増加して200万人を突破した。市もパンフレットを英語・中国語・ハングル版の3種類を用意し、外国人観光客の取り込みを支援した。

お城EXPOには初出展で、来年6月に現在修復中の名古屋城本丸御殿の修復が終了し、全面公開を予定。全国から新たな観光スポットとして人を呼び込みたい考えだ。
同市の西川さんは「名古屋城は全国の城の中でも珍しく、当時の実測図をもとに木造のまま復元を行っている。そのため、国内の愛好家も多く訪れており、市の観光政策の中でも重要な位置づけになっている」と語る。

日本城郭協会は29日に「続日本100名城」の公式ガイドブックを発売し、来春にも新スタンプラリーを始める予定だという。若年層や外国人観光客にまで飛び火するお城ブームは、今後もまだまだ続きそうだ。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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