実物を見せられるリアル展示会が効果的[口コミ]@関西 ロボットワールド
- 2021/12/28
- インテックス大阪, ロボットワールド, 製造・設計・ロボット
会期:2021年8月26日(木)・27日(金)
会場:インテックス大阪
主催:関西ロボットワールド実行委員会((一財)大阪国際経済振興センター、エグジビションオーガナイザーズ)
来場者数:7737人
構成展:第5回 サービスロボット展、第4回 産業用ロボット展
同時開催:オープンイノベーションEXPO
ロボット技術の展示会「関西 ロボットワールド」には、非接触サービスや協業先を探す企業が来場した。コロナ下でオンライン展示会や、製品を顧客の元へ送ってからオンラインで説明するといった方法を試みているが、オンラインだけでの営業は難しいと口にする出展者が多かった。実物を見せたい出展者、実物に触れたい来場者の需要がマッチしている市場と言えそうだ。新型コロナウイルスの影響で展示会自体への来場者数は減ったものの、来場者が決済権を持つ人に限定されたことで、商談の質が上がったと満足し、今後もリアル展示会に注力すると話す出展者が多かった。
コロナ下で来場が役職者に限定され、営業の質は高まっている
THK(東京都港区)
機械要素部品を開発、製造、販売する。今回はロボットビジネス支援機構、RobiZyプロジェクトの会員として出展し、デジタルサイネージ、アナウンスや検温などに関わるロボットを紹介した。以前はロボットというと工場で使用される、作業を効率化させる手段と考えられることが多かったが、我が社が携わるのはコミュニケーション面のロボットで、コロナ下をきっかけに注目が集まるのを感じる。
コロナ以前は訪問やオンライン、展示会、ショールームによる営業を行っていたが、コロナ下以降はショールームを閉鎖、動画を使ったオンライン営業と展示会に力を入れている。
リアル展示会への出展を続けるのは、オンラインでは分からない、実物を見てほしいからで、そのために来場する人も多い。主催者側が中止しない限り、我が社都合で出展を取りやめることはない。今回の展示会も含めて、主催者の感染症対策はしっかりしている。また、B to CではなくB to B向けなので、来場者の意識も高いと思う。
コロナ以前と比べると来場者数は減っているがデメリットとは思わない。以前は勉強目的など決済権のない人が多かったが、1社1人と限定されある程度の役職者が来るので営業としては質が高まっていると思う。コロナ下で来場者が少ないからこそ、展示会を活用できると考える来場者もいて、2カ月程には関東版が開催されるにもかかわらず、東京から訪れる企業もいた。待ちきれなくて来場したということだった。
協業先を探す異分野の来場者の姿も目立つ。我が社も異分野の展示会への出展を考えているので、そうした展示会について的確な情報をつかむことが課題だ。
顧客開拓と協業パートナーを探すために出展
吉忠マネキン(京都市)
マネキンの製造販売に加え、百貨店や量販店、専門店などの空間プロデュース、内装を手掛けてる。いわゆる展示会に出展するのは初めてで、新事業として自走式デジタルサイネージなどを紹介した。自走式デジタルサイネージは、もともとホテルや空港のVIP専用ラウンジといった高級な空間を演出する企業に提案するつもりだったが、新型コロナの影響による非接触営業の需要の高まりを受け、初めて出品した。顧客開拓と協業パートナーを探すために出展した。我が社はデザインが専門で商品を1から作ることはできないためだ。今回の自走式デジタルサイネージの機械部分は隣で出展するTHK社とのコラボ製品だ。
コロナ以前は定期的なルートセールスなどの対面営業やオンライン、上顧客向けの商品発表会で営業をしていた。コロナ以降は展示会での営業に力を入れている。オンライン営業ではサイト運営の強化に注力しようと、チャットボットなどの機能を導入したが、今のところ成果は微妙だ。オンライン展示会は完成品をアピールするのに向いた場で、我が社のように顧客の要望に応じてデザインをする商材には向いていないと感じた。
来場者数減も、決裁権者とじっくり話し合えるので効率的
アーク(埼玉県朝霧市)
親会社は三井化学で、我が社は製品デザインを得意にしており、顧客の要望に応じて1から最後のデザインまで仕上げる事業をしている。手荷物輸送や配膳ロボットを紹介した。
コロナ以前は訪問、オンライン、展示会で営業を行っていたが、コロナ下はどれも苦戦しており、有効な営業手法がない。コロナ下で多くの顧客が新しいものを作れなくなっている。例えば、メイン顧客の1つである自動車産業は、新型コロナの影響で半導体の生産が止まったために、業界全体が身動き取れなくなっている。
我が社は相手の意図をくみ取った提案を持ち味とするので、対面での営業や打合せがとても重要だ。ものを作るには人が集まらないといけないと思う。オンラインも活用しているが対面でしか分からない何かがある。オンラインでは相手の気持ちが読み取りにくく、断定的な物言いができず、曖昧な伝え方になるために良い営業ができない。馴染みの顧客であればオンラインでの打合せも有効だが、新規顧客では難しい。
待つしかない状態でも展示会には出展を続けている。たしかに来場者の数はコロナ以前と比べると少ないが悪いことばかりではない。決済権がある核となる役割を担う来場者が多く、しっかりと話し合うことができるので、むしろ営業効率が良いと判断している。
オンライン試着会やサイトのSEO対策に注力
パワーアシストインターナショナル(和歌山県和歌山市) / 新明和工業(兵庫県宝塚市)
パワーアシストインターナショナル(和歌山県和歌山市)は人感センサー搭載の歩行補助まで対応のパワーアシストスーツを、新明和工業(兵庫県宝塚市)はモーターなどのパーツを紹介。市場を広げるために出展した。
以前は訪問、オンライン、展示会での営業をしていたが、コロナ下ではオンライン営業、特にサイト運営の強化やアシストスーツの試着会を行っている。サイト運営の強化はSEO対策に力を入れ『パワーアシストスーツ』とグーグルで検索すると上位表示させることに成功した。アシストスーツの試着会は、まずサイトで希望企業を募り、アシストスーツを郵送。その後Zoomなどのウェブ会議システムを使って、商品説明や使用方法を伝えながら試着してもらう。サイトでは数値や視覚的な情報を伝えることはできるが、パワーアシストスーツが持つ力感を体感で伝えることはできない。そのため試着会にも力を入れている。企業が対面での営業を希望する場合は訪問営業をしている。オンライン展示会への出展も検討したが、コンテンツ製作の手間と費用、また出展費用も安くないので今のところは消極的だ。
展示会は営業の肝、今後も出展し続ける
ハイウィン(神戸市)
台湾に本社があり、機械要素部品やメカトロ製品を製造販売する。今回は多軸ロボット、スカラロボット、ウエハーロボット、ダイレクトドライブモーターを紹介した。
コロナ以前の営業は主に訪問、オンライン、展示会だった。我が社にとって展示会は営業の肝で、年間20回ほど出展していた。コロナ下でも展示会への出展は変わらずに精力的に行っており、今後も主催者が中止しない限り、取りやめることはない。そのほかにはサイト運営の強化とウェビナーの開催にも力を入れている。今のところどちらも大きな成果は出ていないが、焦りはない。リアル展示会と同じで、すぐに効果が出るものではなく、継続することこそが大切だと考えている。オンライン展示会にも取り組んでいるが、バーチャルでは製品の良さが伝えきれない。やはり実物を見てもらう必要性を感じており、実物に触れてもらうためにどうすべきかが課題だ。