不動産売買仲介向けオウンドメディア『不動産会社のミカタ』
ミカタ(東京都千代田区)
ミカタ(東京都千代田区)が展開するのは、不動産売買仲介業者向けの情報メディア『不動産会社のミカタ』と資料請求サイト『ミカタストア』だ。無料で情報発信する同メディアをきっかけに資料請求サイトへ誘導し、資料請求サイトの広告費とメルマガ配信費用で売上を立てるビジネスモデルとなっている。オウンドメディアを軸とした営業戦略について、荒川竜介社長に聞いた。
―御社のサービスについて教えてください
不動産の売買仲介業者向けに2つのウェブサイトを運営しています。1つ目は、不動産の営業や集客などに必要となる情報を無料で発信しているウェブメディア『不動産会社のミカタ』。2つ目は、資料請求サイトの『ミカタストア』です。『不動産会社のミカタ』から『ミカタストア』にアクセスできるようにリンクを貼り、『ミカタストア』に流入する仕掛けを作っています。
―それぞれのサイトにはどれぐらいのアクセスがありますか?
『不動産会社のミカタ』は現在月間15万PV、10万UUとなっています。公開したのは2019年4月からで、2019年11月には1万UUを達成しました。『ミカタストア』は現在月間2万PV、1万UUという状況です。掲載企業は約80社で、紹介されているサービスは約250種類となっています。
『ミカタストア』では資料をダウンロードした人のリードを、掲載企業に1件につき1万円で提供します。現在(2021年11月)の月間リード提供数はトータル1700件です。前年同月は200件だったので大きく伸びています。また、1配信8万円で我が社の持つリストへのメルマガ配信も行います。内容は企業のセミナー集客が一番多いです。複数回の配信で割引があるので、継続契約している企業が半数です。
―どのようにして新規顧客を獲得していますか?
『不動産会社のミカタ』自体が我が社にとっての集客ツールになっています。広告はいっさいかけておらず、すべてオーガニックユーザーとなっています。資料のダウンロードやメルマガ登録でリードを獲得しており、メルマガ会員は現在8000人となっています。1年前は3300人しかいませんでしたが、メディアの成長に伴い会員数も急増しており、我が社ならではの強みとなっています。
ーその他にはどんなオンライン施策を行っていますか?
企業のオンラインセミナーを掲載するサイトも運営しています。「ミカタセミナー」という専用ウェブサイトを用意して展開しています。もともとは『ミカタストア』のコンテンツの1つだったのですが、需要が多かったので2021年11月1日に専用サイトを立ち上げました。不動産会社向けにセミナーを実施したい出展企業を募集し、参加者のリードを1件7000円で提供します。参加者は毎回10~50人程度。出展企業にとっては、自社では集客できない層にアプローチできるのがメリットです。
また、DMMのオンライン展示会に参加しました。オウンドメディアにサービスを掲載したい企業を探すのが目的です。テストマーケティングでしたが、リード獲得は40社。そのうち商談になったのは2件で、1件は成約しました。有料となった場合どうするかは、費用対効果で考えたいと思っています。
―今後の課題について教えてください
売上面で言えば、10億円を目指したいと思っています。中小不動産会社向けの追客支援や反響対応代行のサービスも提供していますが、収益の柱となる事業が不足しています。「不動産会社のミカタ」は月間10万UUありますが、そのうち収益につながるユーザーは1割しかいません。残りの9割にアプローチできるコンテンツが必要だと思っています。
新たな事業のテストとして、eラーニングサービスを始めました。ターゲットは自己投資して営業成果を高めたいと考えている営業担当で、人材紹介サービスなどにもつなげられるように人材紹介免許も取得しました。また、不動産業界での独立を検討している人向けのサービスも展開しています。ウェブ制作など独立に向けて必要となるサービスをまとめてパッケージ化して販売するもので、『不動産×独立』というキーワードで検索する人が多いことから狙いを付けました。ただ、起業したばかりの会社は経営状態が不安定で、サービス提供者側としても販売することに不安を感じる会社も少なくありません。そこで、日本政策金融公庫からの融資が受けられたことを条件にするなど、対策を取っています。