来場層が幅広く、ターゲットと出会えなかった出展者も[口コミ]@中小企業 新ものづくり・新サービス展 前編
- 2021/2/19
開催日程:2020年12月7日(月)~9日(水)
会場:東京ビッグサイト 青海展示棟A
主催:全国中小企業団体中央会
出展者数:650社
来場者数:9094人
「中小企業 新ものづくり・新サービス展」には、国のものづくり補助事業で開発した中小企業の新製品やサービス、技術などが集まった。効率化やコスト削減のための商材を求めて、あらゆる分野の製造業関係者が来場し、建物を3D撮影して図面化する機器や工事用黒板とカメラを一体化したアプリ、上吊引戸に設置できる自動ドアなどに関心を寄せていた。新たな顧客層と出会えた出展者がいる一方、幅広い業種が来場したため、ターゲット層と出会えなかったという声も聞かれた。
目的のない来場者が多い
ワコン(和歌山県紀の川市)
物流関連の機器メーカーで、今回初めてこの展示会に出展した。物流に特化した、脱ドライアイスを掲げてつくった保冷剤や専用ケースを提案した。実際、ネットスーパーの輸送などで使われ始めており、今後市場が広がると考えている。
冷凍品を運ぶ食品流通系をターゲットとしているが、ターゲット層はほとんど来ていない。明確な目的のない来場者が多い印象だ。ある程度の話ができるのは1日に5人ほどで、具体的な商談につながるケースはほとんどない。定期的に出展している食品展示会だと1日に50~60人と話をするので、今回は出展効果を感じられない。
来場者は例年の半分ほど
AMYドアテック(愛知県春日井市)
上吊引戸開閉装置を開発、設計、製造しており、この展示会には3年連続で出展している。上吊引戸にそのまま設置できる自動ドアを実際に動かしながら展示した。足を止めてくれるのは建築関連の人が多いが、全体的な来場者は例年の半分ほどだ。実際に利用されているのは食品工場が多い。今後は非接触が求められる病院など医療関係へアプローチしたい。過去2回の出展では成果に結びついておらず、今回も今のところ、取引につながりそうな案件はない。名刺交換したのは20~30枚ほどだ。
待ってダメなら自ら会場を回って名刺交換
ラックス(広島県福山市)
防水・外壁改修や耐震補強などの総合リノベーション会社で、既存の建物の改修がメイン事業だ。この展示会へ初出展となる今回は、建物をデータ化できる3D機器を展示した。高度成長期に建設された総合病院やホテル、工場はちょうど改修が必要な時期が来ているが、古いために図面がなかったり、図面があっても、その後の増改築で図面が役に立たないこともある。そんなときに3D撮影するだけで図面化できるのが特徴で、通常、改修の依頼から早くて半年、長ければ1年以上かかることも多いが、この機器で調査期間を大幅に短縮することができる。
全体的な来場者数は少ないが、営業担当者が会場内を回って100枚近くは名刺交換できたのではないか。ただ待っているだけではもったいない。いくつかいい話もできた。出展の意義はあったと思っている。これからアプローチして、うまく商談につなげたい。
交換した名刺は70~80枚ほど
山一(長崎県南島原市)
初出展となる麺の製造会社で、フリーズドライのそうめんなどを展示した。そうめんの消費者は高齢者が中心で、若者世代ではそうめんを知らない人もいるくらいなので、お湯をかけるだけで食べられる製品を開発した。しょうがやゆずみそ、あごだしなど、専用のスープによっていろいろな味が楽しめる。調理が簡単なため、新型コロナの感染拡大以降は、巣ごもり需要としても引き合いが増えている。
ブースには、食品系のバイヤーや卸売、ケータリング、ネット通販といった幅広い関係者が訪れた。OEMの依頼もあった。今回は、さまざまな業種の人と出会うことができ、いろいろな意見をもらった。新製品開発にあたり、クラウドファンディングという方法があることを教えてもらうなど、情報収集の場として役立った。交換した名刺は70~80枚ほどだ。