オンライン営業に取り組みながら、展示会出展や訪問営業も継続[口コミ]@下水道展 大阪

展示会名:下水道展 ’21 大阪
会期:2021年8月17日(火)~ 20日(金)
会場:インテックス大阪 2~6号館Bゾーン、センタービル
主催:(公社)日本下水道協会
来場者数:1万2825人
来場者層:

 下水道業界の展示会「下水道展」には、オンライン営業には向かない商材のため、顧客層である自治体や大手ゼネコンの関係者が多く集まった。新型コロナの影響で訪問営業ができなくなり、新顧客の開拓に自社サイトで動画やSNS広告を活用したオンライン営業に取り組む企業が増えた。一方で、顧客となる自治体や官公庁は、セキュリティの観点から使用する端末から外部サイトへの接続が禁止されるため訪問営業を望むことが多く、今後もオンライン化に取り組みながらも、リアル展示会の出展や訪問営業を続けると話す出展企業が多かった。


開発した体験型コンテンツを展示会やオンラインで活用

ベルテクス(東京都千代田区)

 下水道、道路、建築用といったインフラ向けの各種コンクリート製品を製造する。コロナ以前は顧客先への訪問営業が主で、コロナ下でオンラインにも取り組んでいるが難しい。展示会でも以前は内部に階段がついている特殊なマンホールなど視覚的に見栄えの良い商品を展示していたが、今は感染症対策としてタッチパネル式のデジタルサイネージを利用して事業や商品を紹介している。体験型のネットコンテンツを開発したが、今のところ成果は出ていない。床に敷いたマットレスの上で足踏みをすると、VR上の街の中を移動しながら、さまざまな所で使用されている我が社の商材を確認ことができるものだ。今回は来場者が少ないこともあり、することに抵抗感が強いのか体験する人は少ない。

 コロナ下ではテレワークを推進している企業への対応が課題だ。コロナ下で訪問営業そのものが敬遠されているが、会社を訪問しても担当者がテレワークで不在ということも増えている。そのために営業の電話を会社ではなく担当者の携帯にかけなくてはならない。オンライン営業は対面よりも距離感が遠く感じられ、成果もあまり出ていない。


商材も顧客層もオンライン営業には不向き

ヤンマーエネルギーシステム(大阪市)

 ガスによる空調システム、発電・排熱システム、非常用発電システムなどを手掛ける。今回の展示会ではブースの設計業者も一新し、見栄えを重視した。雰囲気が変わったという反応の良さを感じる。営業方法の1つとして展示会に出展しているが、来年どうするかは検討中。今回の成果によっては来年の出展の取り止めも考えている。

 取り扱う商材の性質上、オンライン営業には向いていない。顧客である官公庁や大手ゼネコンもオンラインに適しておらず、来訪してテーブルにパンフレットを広げて営業が説明する対面営業を望んでいる。コロナ下でもあるのでオンライン展示会「ヤンマーオンラインEXPO」を自社で運営し、出展もしているが、あまり成果は出ていない。自社サイトにもバナーを掲載して会場への誘導を試みているが上手くいっていない。 新型コロナ対策として社員の出社率3割を目指しているが、社内の連携力の低下が課題だ。オンライン会議やチャットツールを活用しているものの、リアルでのやり取りよりもコミュニケーションのスピードが遅い。


展示会出展は社外PRとチームに連帯感を持たせるため

日水コン(東京都新宿区)

 上下水道、河川など水に関するさまざまなコンサルティングを行う。我が社はコンサル業なので知識が商材。オンライン商談など新しい技術は率先的に取り入れている。コロナ下からオンライン営業にも力を入れ始め、我が社の全国の技術者とオンライン通話ができるコミュニケーションツールを開発した。この展示会でも紹介したところ1日10~20組から申し込みがあった。自社サイトにも組み込み、利用できるようにしているが、主な顧客である自治体とゼネコンはオンライン営業への対応が遅れている。対面での営業を好むというのもあるが、自治体はセキュリティの問題で所有している端末から外部サイトへの接続が禁止されている場合が多い。ただ、変わりつつあるようで対応可能なところも増えてきている。

 また、社員の出社率3割を目指し、5割まで達成したが部門によって格差がある。特に営業は業務的に在宅化が難しい。自社サイトに動画コンテンツを掲載するようになり、事業内容を説明するもので、それを閲覧し基本情報を把握した上で問い合わせをしてもらうことが目的だ。これを0次営業と呼んでいる。訪問営業は難しいが、営業の移動経費が抑えられるので悪いことばかりではなく、その分の経費をウェブコンテンツの充実に注いでいる。

 来年開催されるこの展示会の東京版にも出展する予定だ。コロナ下なので今回の出展もどうするか社内で検討に上がったが、もともと展示会に出展する理由は社外PRのためだけではない。一丸となって展示会を作ることでチームに連帯感を持たせることも目的だ。 今のところ課題は特にないが、コロナ下以降は営業で訪問する価値が以前よりも特別になるのではないかと思う。それに見合う営業の形や質を考えていかなければならないと思う。


オンラインの相談ブースを用意

メタウォーター(東京都千代田区)

 浄水場や下水処理場、ごみ処理施設向け設備などの設計や建設、また各種機器類の設計、製造販売、補修工事、運転管理などを行う。今回はコロナ下の展示会ということで見せ方を変えてみた。以前はそれぞれ専門の説明員を20人ほどブースに常駐させていたが、今回は0人にして相談ブースからオンラインで相談員とコミュニケーションができるようにした。ただ、端末越しのためか以前よりも抵抗感を感じる人が多いようで利用者は少ない。

 オンライン営業に向かない商材のため、コロナ下でもオンライン営業というわけにはいかない。また、顧客が対面での営業を希望しており、オンラインを望んでいない。メイン顧客である自治体はセキュリティの問題で利用している端末から外部サーバーにアクセスできないことが多い。そのため訪問して持ち込んだPCを使ってオンラインで商談をすることもある。コロナ下ということでオンラインでの営業に注目が集まりがちだが、どちらか一方に偏るのではなく対面とオンラインの使い分けが大切だと思う。最初の数回の営業は対面で行い、お互いの関係性ができたところでオンラインに切り替えている。 コロナ下でも展示会は有用だと考えて出展している。展示会の場で商談を成立させることよりも、困ったときに覚えておいてもらうためにPRしている。


折込広告とSNSの活用で将来の顧客化を目指す

クボタ浄化槽システム(兵庫県尼崎市)

 浄化槽の施工やメンテナンス、浴槽の販売を行う。コロナ下以前は訪問営業が主だったが、それが難しくなったため、エンドユーザー向けの新聞折込広告を始めた。2019年に浄化槽法が改正され、単独処理浄化槽の新規設置が禁止され、賃貸住宅などでも使われている合併処理浄化槽がメイン商材になったことで、それまでクレーム対応でしか接点がなかったエンドユーザーが顧客になったからだ。折込広告はエンドユーザーへの販路開拓も目的だが、そうした人々の心をつかむことで我が社の商材を身近に感じてもらい、所属する企業などに導入を間接的に働きかけてもらうためだ。ただ、昨年から始めているがなかなかまだ成果は出ていない。今のところ旗色が悪いが分析中である。

 また、オンライン営業の一環としてメタ(旧・フェイスブック)を活用している。商品についての宣伝ではなく風呂場の浴槽を維持管理するための方法などを掲載することで、「いいね」の獲得による認知度の向上だけでなく、良い印象を与えることで将来の顧客化を目指している。

 訪問営業では、新型コロナの感染状況の悪化により非常事態宣言が頻出し、都道府県をまたぐ移動ができなくなっているのが課題だ。移動が制限されるのは営業にとって厳しい。


コロナ下でも出展するのは来場者の生の声を聞くため

タクマ(兵庫県尼崎市)

 廃棄物の処理プラントや資源回収プラント、下水処理プラントなどの販売、運転、保守を行う。コロナ下以降も営業の方法は変えていない。展示会にオンライン商談を取り入れてみたが、成果は微妙だ。コロナ下でも展示会に出展するのは来場者の生の声を聞くため。課題は特にない。

出展者が挙げる競合展示会
ヤンマーアグリジャパン オンラインEXPO WINTER
2021年11月1日(月)~2022年3月31日(木)
主催:ヤンマーホールディングス

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