過去最多の感染者数だが、ロックダウンせず @イギリス・ロンドン【12月17日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲ロンドン中心部ソーホーにある歩行者専用のショッピング通りカーナビー・ストリート

ロックダウン回避のため、規制を強化

 イギリスでは、新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数は8万人を突破した。オミクロン株については、12日までに3100人以上が感染し、13日には世界初となる死亡例が確認された。政府はワクチンが有効であるとの判断から、ブースター接種の対象者を18歳以上に広げ、感染予防に努めると発表した。ワクチンの接種センターには長蛇の列ができたり、検査キットのオンライン販売で品切れが続いたりと、国民も危機感を募らせているようだ。

 オミクロン株の感染拡大が懸念されるため、新型コロナの陽性者に濃厚接触した人は、7日間連続でラテラルフロー(抗原)検査が必要になった。ワクチンを未接種の場合は、さらに10日間の自己隔離と、雇用主に未接種であることを伝えなければならない。未接種の場合は政府からの援助が出ないなど、社会活動におけるさまざまな制限がある。

 国内では11月30日から、屋内の公共エリアではマスク着用が再び義務化された。しかし、多くのスーパーや小売店では、来店客に着用を強要することはないという。前回のロックダウン時に、マスク着用を促した店員が暴言や暴力を受ける被害が出ており、トラブルを避けたい雇用主の意向がある。ロンドンでは、ほとんどの人はマスクを着用しているが、未着用の人は単に忘れているだけということも多いようだ。

 国内の4地域では、それぞれ異なる感染症対策を実施している。イングランドは、商業施設や小売店、イベント会場など屋内の公共エリア、公共交通機関でマスク着用が義務付けられた。オフィスに出勤せずに勤務できる場合は、在宅勤務が推進される。大規模なイベント会場やナイトクラブは15日から、18歳以上を対象にワクチンパスポートまたはPCR検査の陰性証明の提出が必要だ。

 スコットランドでは、屋内での交流は3家族までに限定された。高齢者や障がい者の施設を訪問時には、事前にPCR検査を受けた2家族までが同時に入館できる。ウェールズでは12月末までに、成人のワクチン接種を完了することを目指す。イングランドと同様にワクチンパスポートも導入している。北アイルランドではレストランやパブなどでも、ワクチンパスポートの提示が必要だ。

▲イルミネーションがあちこちで見られる

サンタクロース不足で、記念撮影ができない子どもたち

 多くの業界と同様に、サンタクロースの人材不足も深刻だ。毎年クリスマス時期になると、サンタクロースと写真撮影ができる「サンタクロースの洞窟(Santa’s Grotto)」が、商業施設やクリスマスマーケットなどに設営される。入場料を払って中に入ると、サンタクロースの膝にのって撮影ができたり、小さなプレゼントも受け取れたりするため、子どもを持つ家族に人気だ。恒例行事になっている家庭も多いが、昨年はロックダウンで中止が相次ぎ、この冬はサンタクロースが不足していて、サンタクロースに会えない子どもたちが増えている。サンタクロースの需要増で時給が高騰し、人件費も増えているようだ。

 ロンドンで例年大晦日に開催される花火大会が、中止されることが決まった。代わりに、トラファルガー広場で有料イベントが予定されている。有名アーティストによるパフォーマンスのほか、屋台の飲食も楽しめるという。チケットは抽選で5000枚ほど販売され、当日はBBC(英国放送協会)で配信される予定だ。

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