カナダ政府は、新型コロナウイルスをインフルエンザと同様の扱いにする方針を固めた。感染者や濃厚接触者に対しては、ワクチン接種を条件に自己隔離の規定を変更した。ワクチンを2回接種した人は、陽性でも無症状または症状が治れば、最短で5日間に短縮され、濃厚接触者は自己隔離が不要になった。ワクチンの1回接種や未接種の人は、それぞれ10日間の自己隔離が必要だ。陰性でも症状がある場合は、症状が治るまで自主隔離が求められる。

　政府は自主隔離について、「自宅から出ない」「同居人との接触を避ける」「公共交通機関やタクシーの利用を禁止する」「近所や公園を散歩しない」「共同住宅のエレベーターや階段を利用しない」と定めた。

新型コロナの経口薬を認可　一方でワクチン接種の重要性を強調

　カナダ保健省は17日、ファイザー（アメリカ）が開発した新型コロナの経口薬『PAXLOVID』を承認した。臨床試験では症状を軽減し、入院や死亡のリスクを89％減少したという。軽症や中程度の症状があり、入院や死亡など重症化するリスクが高い18歳以上の患者に使用する予定だ。

　従来の治療薬は医療現場のみで使用されていたが、同製品は1日2回、3錠ずつを5日間、自宅で服用するため、医療体制の逼迫（ひっぱく）を予防できると期待されている。一方で、政府はワクチン接種に代わる薬はないと強調し、ワクチン接種の重要性を訴えた。

　新型コロナの感染者が急増するケベック州では、酒や大麻の販売店への入店に、ワクチン接種の証明書を提示することが、18日から義務化された。政府の発表前には、初回接種の予約は1500人程度だったが、翌日には6000人を超え4倍に増加した。ケベック州では、未接種者に課税を検討しているという報道も後押しとなり、新たに10万人以上が接種を受けたという。カナダでは2018年から大麻が合法化され、嗜好品としての販売や使用が認められている。

カナダ西部の洪水で、国内の物流に影響

　ブリティッシュコロンビア州で、11月に発生した洪水や土砂崩れの影響で、いまだに多くの州で物流の遅延が深刻化している。国内最大のバンクーバー港を発着する輸送が停止され、主要道路につながる複数の高速道路が閉鎖されたことで、穀物や石炭から日用品まで、さまざまな貨物が影響を受けた。同港で取り扱う貨物は、カナダの輸出額の3分の1を占めている。現在は輸送を再開しているが、依然として国内の物流が滞っている状況だ。