米メルク社の経口治療薬を承認、重症予防に期待 @イギリス・ロンドン【11月10日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲経口治療薬は新型コロナウイルスの感染状況に効果を発揮することができるか

 イギリス政府は4日、アメリカのメルク社が製造した、新型コロナウイルス経口治療薬「モルヌピラビヌ」を承認したと発表した。発症初期の人が1日2回、5日間服用することで、重症化を防ぐ効果が期待されている。軽症から中症度の症状を持つ人に実施した治験では、入院や死亡のリスクを50%削減し、投与により死亡した人はいなかった。政府は、医療体制のひっ迫を予防するとして、期待を寄せている。

 新型コロナの感染拡大を避けるため、600万人以上がブースターワクチンを接種した。50歳以上が対象だが、介護施設の居住者と従業員、医療や福祉の関係者も対象となる。他にも、基礎疾患がある、免疫が獲得できなかった可能性がある、免疫システムが著しく低下している、過去に感染して深刻な症状が出た、健康弱者と同居しているというような人も対象だ。ブースター接種は自治体からの案内がなくても受けられる。3000万人が、2回目の接種から6カ月以上が経過しているため、政府はブースターワクチンの投与を加速したい狙いだ。

 ケンブリッジ大学の調査によると、コロナ下の医療システムとして主流となった、音声やビデオ通話によるオンライン診察では、対面と比べて誤診が増えたことが分かった。医療従事者の9割、患者の7割は、誤診が増えたことで適切な治療に至るまでに時間がかかると回答した。一方で、回答者の6割は、オンライン診察により利便性が向上したと回答した。

 スコットランドでは「COP26(第26回 気候変動枠組条約締約国会議)」が1~12日に開催されているが、二酸化炭素の排出減を目指す場において、各国要人がプライベートジェット機で渡英したことが批判されている。合計で200機以上が利用され、1万3000トンの二酸化炭素を排出したことが判明した。これは、成人1600人が1年間に排出する量と同程度で、偽善だと非難を浴びた。

 同会議では、イギリス国内に住む成人の4人に1人は、環境に配慮する行動やエコに対する意識が足りないと指摘された。リサイクルを徹底していない、電気を消さない、プラスチック製品を購入しているなどの行動が挙げられるという。

 地球温暖化に反対する環境保護団体『insulate britain(断熱英国)』は9月から、幹線道路や高速道路を封鎖してデモ活動を続ける。道路が混雑する時間帯に封鎖して混乱を生み、気候変動がもたらす危機的な状況に、国民の注目を集めたいとされる。しかし、参加者は中高年が中心であることから、他の方法があるのではという批判も多い。デモ活動の参加者らは、政府に対して「全ての住宅を正しく断熱し、二酸化炭素の排出量を削減する方法を検討するべきだ」と主張している。

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