首都圏でICU病床の利用率が100%の病院も @マレーシア・クアラルンプール【1月20日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】
- 2021/1/22
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政府は11日、サラワク州の一部を除くマレーシア全土において、段階的にロックダウンへ移行することを発表した。1日あたりの新規感染者数は、2000~3000人で推移していることや、これまでに医療従事者の1450人が感染したことから、医療崩壊を予防するためとしている。
クアラルンプール首都圏の公立大総合病院、クアラルンプール病院とマラヤ大学医療センターでは、ICU病床の利用率が100%に達した。新型コロナ患者の専用病院に指定された、北部の国立スンガイ・ブロー病院でも83%を超えたという。地方都市でもICUの病床不足は深刻で、5つの州で利用率が73%となり、政府は医療体制が危機的な状況であるとの認識を示した。
今回のロックダウンは、「MCOセカンドフェーズ」または「MCO 2.0」と呼ばれ、13日から26日までの14日間実施され、クアラルンプール、ジョホール州、ペナン州など、3つの連邦直轄領と5つの州が対象となる。22日から2月4日までは、ソフトロックダウンの6州にも地域を拡大し、サラワク州の一部を除くマレーシア全土がロックダウンとなる。
ロックダウン期間中、州間移動は禁止となり、半径10キロメートル内の移動に制限される。日用品の購入のための外出は一世帯2人のみで、車両1台につき2人まで乗車できる。結婚式、懇親会、会議、セミナーなどの集合活動は禁止となる。違反した場合は、最高で1000リンギット(約2万5000円)の罰金が科せられるという。
経済活動は、製造、建設、サービス、貿易や流通、大規模農園の5つの分野のみが許可され、オフィスは全体人数の30%までが出社が可能だ。飲食店の営業は、テイクアウトやデリバリーはできるが、店内での飲食サービスはできない。そのため、事前に仕入れたビール類を販売するバーやレストランもある。
2015年以降、観光はマレーシアGDPの15%を占める主要産業であるが、20年からの損害額が12兆円に到達した。政府は航空関係者を除く企業への給付金は配布しておらず、マレーシア全国旅行代理店協会の代表は、マレーシア経済の再生には観光業が不可欠であるとし、給付金の配布に加え、ローン返済期間の延長、法廷ライセンス料、保険料などの救済措置を求めている。