新型コロナと反政府活動対策、2つの緊急事態が重なる @タイ・バンコク【10月20日/新型コロナウイルス世界の反応・現地レポ】
- 2020/11/2
- タイ, 新型コロナウイルス世界の反応, 新型コロナウイルス関連記事
タイで反政府活動が活発化しており、バンコクなどの市街地では10月15日前後から、若者を中心としたデモ行動が拡大している。政府は緊急事態宣言を発令し、5人以上の集会や、首相および政府が指定する道路、施設内への立ち入りを禁止した。国内では3月下旬から、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言を発令中のため、現在は2種類の非常事態宣言が重なる状態となっている。
デモ行動が拡大した背景には、プラユット首相が率いる軍事政権の退陣と、タイ王室に対する王室不敬罪の撤廃を求める声が高まったことが挙げられる。また、従来タイでは、国内で混乱や災害などが起きると「最後には国王の仲裁がある」と信じられてきたが、国王が新型コロナの感染拡大の中で苦しむ国民の救済に手薄なことも、不満の1つになっているようだ。
緊急事態宣言後にも、反政府活動家や賛同する国民はデモ行動を続け、週末にはタイ全土へ抗議活動が拡大している。応戦する警察側は、放水のほか、催涙弾やゴム弾などを使用してデモ隊を攻撃しており、主要な活動家が多数、逮捕される事態となった。
バンコクでは、例年より早く気温が下がり始め、涼しい季節になってきた。メディアの中には、年末年始まで同様の気温が続くという見方もあり、2020年は新型コロナに始まり、異常気象で終わりそうである。