建設現場向けカメラ、コロナ下以降も対面販売が9割【リード獲得100本連載】ダイサン(大阪市)

  • 2021/11/16

工事現場のクラウドカメラ『魚眼くん』のレンタル
鍵管理自動システム『KeyKey』のレンタル・販売
ダイサン(大阪市)

 建築現場の足場施工を全国展開するダイサン(大阪市)には、注力する2つの新規事業がある。そのうちの1つ、工事現場に設置するクラウドカメラのレンタル事業では、現場飛び込みを軸とした従来の営業スタイルが、新型コロナウイルスの感染拡大により変更を迫られた。今は、展示会出展や販売パートナー企業への営業協力要請により新規開拓を目指す。もう1つの鍵管理システム事業は、コロナ下と商品リリースが重なったこともあり、ターゲット企業の問い合わせフォームに連絡するなど、オンラインの営業が中心だ。

顧客対象によって変える営業手法

―工事現場のクラウドカメラ『魚眼くん』の営業状況について教えてください

 従来は、建設工事現場を飛び込みで訪問営業するのがメインでした。コロナ下以降飛び込みはできなくなり、既存顧客を訪ねる訪問営業が成約案件の9割を占めています。我が社の基幹事業である足場施工の営業チームにも情報を共有し、提案先を増やしています。また、パートナー企業にあたる、道路使用許可証の提出代行、駐車場探しなどを行う会社にも協力いただき、最近は60台を受注しました。

 営業課題は、既存客中心となり、新規顧客をつかめていないことです。また、訪問営業の場合、飛び込みの時に比べると、成約までに時間がかかっています。

 一方で、1社が月に20現場で導入したり、1つの工事が終わっても次の現場で導入が始まったりと、1度成約すると、たくさん使っていただきやすい商材です。戸建ては3カ月、大規模な工事では2年など、継続的に安定した収益を見込めています。新型コロナの感染拡大以降、現場の様子をリモートで確認したい需要が増加し、契約数が伸びました。特に九州では、1人の監督者が担当する現場が広範囲にわたることが多く、注目されています。1社で30台以上を導入した企業もありました。

鍵管理システムは、オンラインで反響獲得

―鍵管理自動システム『KeyKey』の営業状況はいかがですか

 営業3人、技術3人の専属チームを中心に、案件により協力会社とも連携しています。ターゲット企業のお問い合わせフォームに営業メールを送り、メールやオンライン商談で説明をしてから訪問するのが基本の流れです。主要ターゲットはレンタカー業界を想定していましたが、コロナ下で観光需要が失われ苦労しています。

 一方で、賃貸住宅の管理会社から内覧する人のために活用したいという要望や、公共施設を管理する自治体から鍵の管理を非対面で行いたいという相談があったりと、ターゲットを広げているところです。2022年には、川崎市で40カ所のコミュニティ施設に導入される予定です。

建設現場の監督相手にウェブマーケは通用せず

―オンライン営業は、成果につながっていますか

 工事現場のクラウドカメラ『魚眼くん』の場合、建設現場の監督がターゲットであり、多忙でサービスを検索する時間もない人が多く、現時点でオンライン営業による見込みを立てられていません。訪問して対面で行う営業の方が印象に残りやすく、見積り依頼の件数、成約率、リピート率も高い傾向にあります。他の監督を紹介してもらえることもあります。

 『KeyKey』の場合、飛び込み営業は嫌われます。そのため、オンラインがメインです。Google広告や、商品紹介ページのSEO対策など地道な活動を行っています。問い合わせフォームから反響を得て導入につながった実績も出ています。一方で、社内でSEOを強化することに限界を感じており、外注も検討しています。

―コロナ下以降の展示会出展効果はどうですか

 『魚眼くん』『KeyKey』の2つの商品をセキュリティ対策に特化したサービスとして、「バリアフリー展」「建築材料・住宅設備総合展(KENTEN)」「賃貸住宅フェア」に出展しました。どの展示会でも150枚の名刺を獲得しました。

 『魚眼くん』は、建設以外の業界を開拓するため、来場者の需要を探っています。展示会会期後のフォローがまだ完了していないため、成約には至っていませんが、販売パートナーについての商談を数社と行いました。

 『KeyKey』は、住宅関連市場での拡大を目指していますが、成果は出ていません。来場者から直接ニーズを聞けたので、川崎市の案件を生かして拡大を図ります。

 オンライン展示会では、「ひろしまオンライン展示会」に出展料が無料だったため出展しましたが、目立った成果は出ていません。

―現在の課題や今後の方針を教えてください

 2つの商品に共通する課題は、新規市場の開拓です。『魚眼くん』は、自治体などの新しい業界に売れるように、モデルチェンジする予定です。『KeyKey』も自治体や賃貸業界への拡販を強化します。ウェブサイトからの問い合わせを増やすオンライン施策の強化も実施します。

 2021年は企業ロゴを変えたり、展示会へ初出展したりと、挑戦の1年でした。今後も本業の足場施工事業以外にも、次世代足場、ITツールなど、幅広い分野で売り上げを伸ばす仕組みを構築したいと考えています。

▲話を聞いた、グローバル事業部ビジネスアライアンス部の黒川菜摘さんとITソリューション部の横倉正志担当リーダー

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