セミナー開催による営業、マーケティング業務を支援【リード獲得100本連載】Sansan(渋谷区)

Sansanがイベントテック事業を本格化『Seminar One(セミナーワン)』
Sansan(渋谷区)

 名刺管理のSansan(渋谷区)は、企業のセミナー開催を支援するイベントテック事業を本格化させる。セミナー開催支援システムを『Seminar One』としてリニューアルし、セミナー開催で得たデータを、営業とマーケティング業務で活用できるよう支援する。提供する価値とセミナーの重要性について、Seminar One Unit プロダクトマーケティングマネジャーの鳴海佑紀さんに話を聞いた。

―セミナー開催支援システム『Seminar One』はどんなサービスか教えてください

 BtoB企業のセミナー運営をよりシンプルにするための支援ツールです。参加者の募集ページの作成、申し込み受付、受付時や会期前後のメール案内、参加者の管理、アンケートといったセミナー開催にかかる一連の工程をカバーしており、誰でも簡単にセミナーを開催することができます。オフラインのセミナーはもちろん、ウェビナーにも対応しているため、あらゆるセミナーに対応できるワンストップサービスとなっています。

 また、セミナーで得られたデータを一元管理することができ、それぞれのセミナーで得られたデータを連携してまとめることができます。参加者の情報はクラウド名刺管理サービスの『Sansan』と自動連携が可能で、効率的にデータベース化して、セミナー開催をきっかけとした営業展開に生かせるようになっています。今後はMA(マーケティングオートメーション)などの各種ツールとの連携も予定しています。

―もともとは『Sansan Seminar Manager』という名称でしたが、なぜ『Seminar One』に名称を変更したのですか?

 2020年に『Sansan Seminar Manager』をリリースした直後は、導入を検討する人の8割が企業のマーケティング担当でした。導入を検討する理由も「いかにして自社セミナー運営にかかる工数を削減するか」というものだったので、「工数の削減」と「成果に直結する質の高いデータ獲得」をコンセプトに開発を進めていました。しかし、2021年秋ごろからは営業担当から「新しい営業手段としてセミナーを開催したい」という相談が急増したのです。

 こうした状況を受け、「商談の創出」や「受注率の向上」という営業部門のニーズに応えるとともに、マーケティング部門と営業部門が連携して使えるツールへと進化する必要があると考え、今回のサービス名変更に至りました。

▲セミナー開催の支援システム『Seminar One』

―マーケティング部門と営業部門で求められるものが違うのでしょうか?

 一番の違いは成果指標の違いです。マーケティング部門の求めているものが「見込み顧客の獲得」であるのに対し、営業部門が求めているのは「受注の獲得」です。どちらも重要なことですが、横断的に見た場合に必要となるのは「受注につながる見込み顧客の獲得」となります。

 多くの企業でこうした認識の差があることから、マーケティング部門が獲得した見込顧客の情報を営業部門が活用することができないというケースは非常に多いと思っています。マーケティングがせっかくセミナーを開催して参加者の情報を取得しても、単純な参加者情報からでは属性やその人が持つ課題も分からず、営業部門がアプローチしにくいという結果になってしまいます。また、現在はオフラインセミナーをはじめYoutubeやZoomなどさまざまなツールでセミナーを実施する企業が多いのですが、それぞれで得られたデータがバラバラのままで、人脈情報がないという課題もあります。

 さまざまなツールで得られたデータを連携して一元管理することで、参加者の属性や課題が見えるようになります。『Seminar One』によってマーケティングだけでなく営業にも生かせるデータにすることで、それまで場当たり的に開催していたセミナーがより有用な情報収集の場に代わり、営業活動の中心に位置づけられるようになると考えています。

―実際に導入している企業でもそうした課題があったのでしょうか?

 その通りです。2021年9月に外装建材を扱うケイミュー(大阪市)の情報システム部門と営業企画推進部門に導入いただきました。ケイミューは全国の営業拠点でパートナー企業や販売店、工務店を対象に製品発表会を開催していたのですが、新型コロナの感染拡大によって開催できなくなり、各営業拠点が独自にオンラインセミナーを開催するようになっていました。ただ、せっかくオンラインセミナーを開催しても、本部の営業推進部が得られるのは、各営業拠点がエクセル上にまとめたバラバラの参加者情報でした。

 『Seminar One』の導入によってデータ収集のやり方に統一ルールを設けるとともに、「申込者のうち何人が参加したか」や「誰がどのようにアンケートに答えたか」などを1つの画面で管理できるようになり、それぞれのセミナーの成果を可視化できるようになったのです。これによって重点顧客に対しては即座に電話でアプローチしたり、資料請求などの問い合わせがあった場合への対応もスピーディになりました。

―営業部門からこうしたサービスが求められるようになった要因は何でしょうか?

 新型コロナによってセミナーの在り方が変わったことだと思います。各地で緊急事態宣言が解除されましたが、かつてのようにオフラインセミナーだけを実施するという企業は多くありません。多くの人がオンラインに慣れた中で、オフラインのセミナーにわざわざ足を運ぶというハードルは以前よりも高くなり、結果として「オフラインだけのセミナーで本当に人が集まるのだろうか」という不安が強くなったのではないかと思います。実際に「以前は人を集められたが、集客できなくなった」というケースもあります。こうした状況から今後はオフラインとオンラインのハイブリッド型セミナーの需要がさらに増えてくると考えています。そのため『Seminar One』ではオフラインとオンラインの両方に対応する設計となっています。

―今後はどのような機能を強化していく予定ですか?

 外部の営業支援システムやMAシステムとの連携を優先的に強化していきたいと思っています。汎用的に連携できるツールを作り、さまざまな企業で営業活動の中心に『Seminar One』がある環境を目指していきたいと考えています。我が社が2020年にイベントテックへの参入を発表してから、新型コロナの感染拡大によってオンラインイベントを取り巻く環境は大きく変化し、イベントの在り方も多様化してきました。こうした中で、全方向でイベントを支える統合的なパッケージの需要はますます増えていくと思います。2021年11月には過去最高の売上を達成することができ、追い風も感じています。

▲話を聞いたSeminar One Unit プロダクトマーケティングマネジャーの鳴海佑紀さん

関連記事

新着記事

  1. 2022-3-22

    バーチャルオフィスの利用急増 oVice、提供開始から1年半で利用数2000社に

  2. 2022-3-18

    第43回 2年ぶりの日本への帰国 厳しい検疫を体験【今日の中国】

  3. 2022-3-8

    展示会からウェビナー営業に切り替え コストダウン・二次利用可で「費用対効果高い」【リード獲得100本連載】A・R・P(神奈川県秦野市)

  4. 2022-3-3

    DMM.com、2022年度も約60業種のオンライン展示会を開催【オンライン展示会】

  5. 2022-3-1

    認知向上のため新聞に広告出稿、DMMオンライン展示会では93社にリーチ【リード獲得100本連載】 画屋(大阪府豊中市)

  6. 2022-2-17

    オンライン営業が一般化 ウェビナーやウェブ広告からリードを獲得 @関西 総務・人事・経理Week

ページ上部へ戻る