ワクチンとロックダウンの相乗効果で感染者数減少へ @イギリス・ロンドン【2月17日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】
- 2021/2/22
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イギリスでは14日、1日の感染者数が1万人を下回った。同日までのワクチン接種数は約1584万人となり、ワクチンとロックダウンの相乗効果により、感染者数が減少傾向となった。人口の半数近くにあたる3200万人のワクチン接種を目標にしており、今後は対象を50代まで拡大する見込みで、ワクチンの接種センターを続々と開設している。順調にいけば、9月までには国内の成人全員が、2度の接種を完了することができるとしている。
ワクチン接種が進むにつれ、3人に1人は副反応を起こしているというが、大半は注射針を刺した部分の痛みで、深刻な報告はないという。だが、ファイザー社とモデルナ社は、アレルギーがある人への接種を控えるように通達をした。現時点では、どのメーカーのワクチンが使用されたかは、接種後に知らされる仕組みとなっている。
ワクチン接種は強制ではないが、接種証明として『ワクチンパスポート』が発行されることや『No jab, no job(ワクチンを打たなければ仕事はない)』という見出しが踊るなど、国民からは人権侵害にあたるのではないかと不安視する声も上がっている。
国内で発見された変異株・ケント変異ウイルスについて、公衆衛生庁とオクスフォード大学、マンチェスター大学が昨年11月から1月の感染者を対象とする共同調査を行った。2500人の従来型と3500人の変異ウイルスへに関するこの調査では、変異ウイルスの方が、筋肉痛やのどの痛み、咳、倦怠感がが出やすい一方で、味覚障害は少ないことが分かった。
15日から往来制限リストの国からの入国者に対する追加措置が始まった。入国者は1750ポンド(約26万円)を支払いホテルへ直行、PCR検査を受け、自主隔離しなければならない。8日目に2度目の検査で陽性の場合、自主隔離期間が10日間延長されるため、追加で約1200ポンド(約17万8000円)を支払う。支払い能力が低いと認められた場合、12カ月の分割払いを認められる。
飲食業界では、ビールの廃棄が問題となっている。オリンピック公式プール20杯分と同量の4950万リットルが廃棄され、3億3千万ポンド(約489億円)の損失が出た。そのため、イギリスビールパブ協会は、政府に対して資金援助を訴えている。
ロックダウン期間中ではあるが、スコットランドとウェールズでは学校が再開した。しかし、登校ができるようになったことで、感染者数を再び増加させないよう、ロックダウンの緩和は慎重に進めるとみられている。スポーツでは、ラグビーのシックス・ネーションズ(欧州6カ国対抗戦)が無観客で始まった。6日のイングランド対スコットランド戦では、スコットランドが敵地イングランドで38年ぶりに勝利した。スコットランド人やファンにとっては、ロックダウンや悪天候が続くこの時期でも、晴れやかな気持ちになったに違いない。