後期授業はオンラインか? 通学か? @タイ・バンコク【10月25日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲タイ東北部の農村にある小学校。地方では密の心配がないため、再開は都心部より早そうだ

政府発表なく不満が高まる保護者と学校

 タイでは新型コロナウイルスの影響による教育再開に関心が集まっている。今年4月に第3波が到来したことから、今年度はほとんどの教育機関がオンライン授業に切り替えている。だが、地域によって感染者数に差が出てきた現状で、登校再開を望む保護者も増えてきたことから不満も増えているようだ。

 タイでは、幼稚園から高校までの教育機関は通常5月に新年度を迎える。学校によって細かい日程に差はあるものの、10月に前期を終え、10~11月から3月までが後期となる。日程は各学校の裁量となっており、カリキュラムの進行状況を加味しながら決定されるため直前になるまで分からない流動的な状況だ。

 問題となっているのは、これからはじまる後期の教育機関の体制だ。前期は国内の感染者数が多かったため、政府は学校への登校を原則禁止とし、オンラインでの授業が行われた。だが、最近は感染者数も落ち着きを見せはじめ、一時期は1日あたり2万人を超えていた新規感染者数も、今では1万人程度まで減少してきた。また、慣れないオンライン授業によるカリキュラムの遅れや学力の低下、就職への影響を懸念する声もあり、不安が高まっている状況だ。

 また、ワクチン接種を巡る問題もある。10月4日にタイ政府は無料ワクチンの接種対象年齢を12歳まで引き下げたことにより、未接種児童の通学を認めるかを懸念する声も出てきた。タイでは12~17歳の就学児童へのワクチン接種を教育機関が中心となって行っていることから、多くの学校が児童のワクチン接種状況を把握できる。

 登校再開を望む保護者の声を受け、バンコクや周辺地域の教育機関は11月から通学を再開する予定を通知しているものの、政府による正式発表はまだ行われていない。教育の遅れを心配する親心と感染拡大を懸念する危機意識がせめぎ合っている。

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