もうすぐ約1カ月のロックダウンが終了 @イギリス・ロンドン【11月26日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲ロンドンの主要ターミナル駅の1つ、キングス・クロス駅

経済活動は3段階に分けて再開

 イギリスでは12月2日、約1カ月続いたロックダウンが終了する。イングランドでは26日、ロックダウン後の経済活動や、人の接触などを3段階に分けて実行することが発表された。国民の約60%が第2段階、約40%が第3段階の地域に該当する。アイルランドやスコットランド、ウェールズでは、独自の段階やロックダウンの解除を行う。

 第1段階(中度)は、ワイト島、コーンウォール、シリ―諸島で、屋内外どちらも6人以下の交流ができる。飲食店はテーブルサービスを含む営業ができ、映画館やボーリング、カジノなどの屋内エンターテイメントが再開される。結婚式や葬式、スポーツ観戦などは、人数制限付きで許可される。

 第2段階(強度)は、ロンドンやリバプール、北イングランドの一部で、屋外であれば6人までの交流ができる。飲食店は営業が再開できるが、アルコールの提供は食事とセットの場合のみに限定される。屋内のエンターテイメントは、ソーシャルディスタンスを保ち、収容人数の50%以下または1000人以下で営業ができる。

 第3段階(最高度)は、バーミンガムやニューカッスル、リーズ、ブラックプールなど北部地域で、屋外であれば6人までの交流ができる。飲食店はデリバリーやテイクアウト以外の営業はできない。屋内のエンターテイメントやスポーツ観戦、宿泊施設は閉鎖となる。託児所やサポートバブル(単身者または18歳未満の子どもがいる一人親は別の一世帯と交流が可能)の利用はできる。

▲クリスマス仕様だが、人影はまばらだ

 イギリス全土では、クリスマス期間の12月23~27日は規制を緩め、3家族まで屋内で交流ができることになった。しかし、ロックダウン中の11月25日には、過去6カ月で最多の死者数となったことから、ロックダウンの意味はあったのかという不満や、クリスマス期間に再び感染が拡大するのではないかという不安の声が多く聞かれる。

 また、ロックダウンの影響で、精神疾患者を抱える人が60%増加し、自殺や自傷行為、家庭内での虐待が増えている。感染の恐怖で、外出や他者との接触を拒む子どもも増加したという。自営業を中心に、ファーロウ・スキーム(給与補償制度)の恩恵を受けられない人の中には、フードバンク(食料の配給)の利用や、家賃が払えずに家族や友人宅のソファーを寝床に点々と移動する状況になっている人が増えているそうだ。

 オックスフォード大学とアストラゼネカ(英)はワクチン開発を進めており、70歳以上の高齢者にワクチンの効果が確認できたと発表した。12月から投与される可能性もあり、期待が高まっている。また、15分で結果が出る、1回5ポンドの検査キットの採用も間近だ。陰性の場合は1日パスが発行され、スポーツやコンサートといったイベントや映画館などを利用できるようになると期待されている。

 ロックダウン期間中に、店舗での営業ができない小売店は、続々とオンライン販売を始めた。1度目のロックダウンで売り上げは落ち込んだものの、オンライン販売に切り替えた店舗は、クリスマス商戦も相まりV字回復をみせている。旅行や食事、娯楽などの消費が縮小している分、オンラインでの購買意欲が高まっているのではないだろうか。

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