DMM.com、2021年度中に60のオンライン展示会開催【オンライン展示会】

出展料は大半が無料 展示会領域での認知拡大を目指す

 DMM.com(東京都港区)が、ビジネス領域のオンライン展示会を、2021年度中に60展開催する方針を打ち出した。自社開発したイベント運営プラットフォーム『DMM[SHOWBOOTH]』を使い、大半の展示会で出展料金を無料として、認知の獲得に注力する。今後の事業展開について、オンラインイベント事業部、事業部長の古波鮫大己さんに話を聞いた。

▲オンラインイベント事業部の古波鮫大己事業部長に話を聞いた

ーオンライン展示会事業、進出の理由は何ですか?

 2020年7月に「アニメサミット online for Business」を無料で開催した。我が社でアニメ事業を担当する事業部が、活動を制限された業界に商談と発表の場を提供するために始めたものだ。アニメ、エンタメ業界では、企業を超えた緩やかな関係者のつながりを求める人が多く、商談に加え、参加者同士が交流しやすい場を設けた。オンラインで多数の交流が生まれたのを目の当たりにして、オンライン展示会の意義に気づき、進出を決めた。

ー『DMM[SHOWBOOTH]』はどのようなものですか?

 コーディングの知識がなくても、テキストや画像を登録するだけで、オンライン展示会を制作できるイベント運営プラットフォームだ。企業ブース、商談、交流、セミナー、アンケート、資料ダウンロードなどの機能を備える。会期中の来場者情報は、管理パネルで取得できる。

 プラットフォームの販売について、企業や業界団体から打診を受けているが、今は、我が社主催の展示会を強化する方針であり、案件ごとに対応することにしている。

セミナー機能、参加者交流機能は設けず
出展者の参加ハードルを下げる

ーどのようなオンラインイベントを開催しますか?

 あらゆるビジネス展示会をオンラインで開催し、幅広い業界で企業に体験してもらう。リード獲得を展示会出展の目的とする企業が多いと考え、リード獲得を最大化する仕様にした。獲得リードも無料提供し、獲得上限数なども設定しない。

 企業ブースをメインにしたサイト設計にしており、資料ダウンロード、動画再生、名刺を渡す機能、商談機能を実装する。セミナー・ピッチの開催、参加者同士の交流機能は設けず、出展企業が手軽に参加できることを重視した。出展企業は、画像、動画、資料をアップロードするだけでブースを制作できる。

 出展者と来場者がつながりやすいように、「名刺を渡す」機能を実装した。リアル展示会のブースに設置してある「名刺箱」をイメージしたものだ。私自身人見知りで、リアル展示会で話しかけるのは苦手だ。だが、資料も連絡も欲しい。そこで、名刺箱に名刺を入れて帰って来ることが多い。社内の事業部からも同様の声があった。オンラインでも、突然商談を始めることのハードルは高いと考え、「名刺を渡す」機能が良いと判断した。Sansanのオンライン名刺での名刺交換機能も実装している。

 来場者に、開催日前からメッセージを送信でき、来場者から返信があれば、登録されたメールアドレスに通知が届く。会期中に使える商談ルームは2つまで用意する。アーカイブも基本1年間は残し、常設のような形になる。アーカイブ期間に問い合わせが発生しているからだ。

1社あたりのリード獲得は100~300件

ー出展企業の募集、集客はどのように行っていますか?

 出展企業は、専門メディアへの広告や業界連合、協会へのアプローチで募集する。集客は、広告やメールプロモーションを実施する。事前に展示会と関連するウェビナーを開催しており、そこからの流入もある。10月の不動産テックに関する展示会では、実験的に会期中にウェビナーを開催する。

ー開催した展示会の出展者の反応はどうでしたか?

 9月に開催した「教育総合サミット」「小売DX」「新しい働き方とライフスタイル」では、それぞれ約150社が出展し、商談や資料DLが比較的活発に行われた印象だ。業界によるが、1社あたりのリード獲得数は100〜300といったところだ。

 セミナーや交流ラウンジ機能を減らした分、事前準備や当日対応の労力は減った。だが、事後アンケートを見ている限り満足度は下がっていない。今後検証作業をさらに進める。

ーオンライン展示会はどんな体制で運営していますか? 

 数十人が従事している。1人のスタッフが複数の展示会に関わる。会期中は事務局対応を行うが、最近問い合わせが来ることはそれほど多くない。運営を簡素化したことで、顧客対応も省力化された。

 10月から『ビジネスID』という共通IDシステムを導入した。ビジネスIDで1度登録すれば次回以降はその情報を引き継いで参加することができる。数多く開催しているので、DMM側も都度データをマージする(統合・合体する)のが大変だったこともあり、一括にした方が管理が楽だ。

「アニメ・ゲームサミット」で有料プランを導入
他の展示会への導入はまだ先

ー次回の「アニメ・ゲームサミット」では有料プランを導入するようですが?

 試験的に10万円の有料プランを用意した。有料プランでは、商談オファーできる数を増やし、商談ルームも3つに増やした。「アニメサミット online for Business」から数えて3回目の開催になる。過去2回の開催では一定の満足度はデータとして出たので、有料を用意してもいいと判断した。販売後、6社分がすぐに完売した。無料プランの出展企業は100〜200社の予定だ。

 「アニメ・ゲームサミット online for Business」で得たノウハウは、他の展示会にも一部生かすが、単純に横展開はできない。アニメ業界は、出展企業と参加者の境界が明確ではないという特性を持つ業界だ。参加者はほとんど知り合いで、ムラ世界という点が他の業界と大きく異なる

 アニメ・エンタメ業界の関係者は、さまざまな事業者とつながることを望んでいる。幅広い業界の事業者と、アニメ・エンタメ業界が混ざりあう場を作りたい。これまでに開催した展示会の参加者情報を活用し、アニメ以外の業界にも声をかけて、参加を促す。来場者のプロフィールが多様になるだろう。

ーDMMがビジネスオンライン展示会を開催する意義は何ですか?

 展示会業界での色がついていないので、中立に、柔軟に、あらゆる形で開催できる。さまざまな企業とつながっていきたい。

 オンラインイベントの方向性はまた変わる可能性もある。我々も出展者も試行錯誤の中におり、このタイミングで多額な出展料を請求するわけにはいかない。参加者と一緒にオンライン展示会というサービスを作り上げていきたい。『DMM[SHOWBOOTH]』のシステム開発は内製化されている。自分たちが感じた違和感やユーザーの声を、すぐに改善・反映できるのが我が社の強みだ。

展示会名:アニメ・ゲームサミット
会期:2022年1月20日(木)11:00~21日(金)18:00
主催:合同会社DMM.com

11月開催 第1弾 2021年11月17日(水)〜11月19日(金)

次世代医療・介護 EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/medical2111/

コスメ&ビューティー EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/cosmetics2111/

スポーツの未来 EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/sports2111/

ブライダル総合 EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/wedding2111/

エンディング総合 EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/ending2111/

設計製造技術・ものづくり EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/manufacturing2111/

物流イノベーション EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/logistics2111/

ファッションビジネス EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/fashion2111/

11月開催 第2弾 2021年11月24日(水)〜11月26日(金)

地域活性化 EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/regional2111/

未来の暮らし EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/smarthome2111/

スマート街づくり EXPO ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/smartcity2111/

SaaS 見本市 ONLINE
【公式サイト】 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/saas2111/

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