証明書の発行で、ワクチン接種率の向上を目指す @マレーシア・クアラルンプール【9月5日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲ワクチン接種を促すため接種会場にはSNS投稿用の自撮りフレームが設置されている

 マレーシアでは4日、新型コロナウイルスのワクチン接種対象である、18歳以上の65.1%が規定回数の接種を終えた。総人口の47.8%に相当するが、政府が目標とする60%には達していない。デルタ株の拡大により、8月以降は1日あたり2万人前後の新規感染者数が確認されているため、今後は12〜17歳へ対象を拡大することを検討している。

 規定回数の接種が完了した人には、『デジタルワクチン接種証明書』が追跡アプリ経由で付与される。ファイザー製、アストラゼネカ製、シノバック製、モデルナ製、シノファーム製などは、2回接種後、14日以上経過していることが条件となる。ジョンソンエンドジョンソン製やカンシノ製は、1回の接種後に28日以上経過している必要がある。

▲ワクチン接種履歴はアプリで管理されているが次回接種のため予約カードも渡される

 ロックダウンは解除されていないが、8月20日以降は証明書の提示により、店内飲食が可能になった。アパレルや文房具、家電量販店といった、必要不可欠の業種以外の店舗に入店できる。店舗側は接種を完了した従業員の割合により、操業率が定められた。

ワクチン接種完了の
従業員の割合(%)
操業率(%)
40〜5960
60〜7980
80〜100100

 

 ワクチン接種は義務ではないが、証明書の導入によって、社会活動の制約において格差が出ることが予想される。学校の対面授業は10月3日から再開予定だが、生徒や教員、学校関係者らに対して、強制力を持って運用される可能性が指摘されている。

▲ベーカリーの店頭には「ワクチン接種証明で特典あり!」と告知する販促ポスター

 ワクチン接種の完了者に対して、独自の販促キャンペーンを行う飲食店が増えた。あるベーカリーは、ポイントカードを兼ねたキャッシュレス決済システムの利用で、30リンギット(約750円)以上を購入した人に、無料のパンを提供する。カフェチェーンは、コーヒーを1杯購入すると2杯目を無料にする。ハンバーガーショップは、専用アプリをダウンロードすると、10リンギット(約250円)を割り引くクーポンを発行する。ワクチン接種を促進すると共に、ロックダウンの規制緩和や解除した後に備えて、消費者を取り込む狙いがあるようだ。

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