9月に入り感染者数に減少の兆し @タイ・バンコク【9月6日/新型コロナウイルス世界の反応・現地レポ】
- 2021/9/12
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在タイ日本人への不安は広がるまま
9月に入り、タイ国内での新規感染者数がわずかに落ち着きを見せてきた。新型コロナウイルス感染症対策センターによると5日の新規感染者数は1万5452人、死者224人。8月には1日あたりの感染者数が連日2万人台を突破していたが、ようやく減少傾向が見えてきた。
それでも日本に比べれば感染状況は深刻なままだ。5日時点でのタイ国内の累計感染者数は128万534人、死者は1万2855人。タイより約2倍の人口を誇る日本の累計感染者数は156万人、死者1万6000人なので、人口あたりの感染者数は日本の倍近い数値になっている。
こうした状況から、タイ在住の日本人の間でも不安が高まっている。バンコク在住の会社経営者男性は「もう感染していると思っている。つい先日まで連日感染者は2万人と発表されていたが、実際には1日で検査できる人数の限界が2万人というだけで、本当は1日あたり4万人くらいいるのではないかと噂されていた。無症状の感染者も多いと聞くので、自分もどこかで感染していたのではないかと。それくらい身近に迫っている」と語る。
感染を恐れる理由は他にもある。タイ国内での医療体制を巡る問題だ。「タイの医療機関、特に私立病院は入院費が高騰しており、お金がない人は入院することができない。人づてに聞いた話だが、コロナでの入院には10万バーツ(約35万円)以上かかるという。タイ人の平均月収4~5カ月分の金額で、中流層のタイ人にはとても払えない」(会社員女性)。こうした状況から、タイ各地では道端で行き倒れる姿もSNSなどで報告されるなど、異様な雰囲気が漂っている。
さらに国民の不安を駆り立てる問題が別にある。日を追うごとに加熱している反政府運動だ。会社経営者の男性は「これまでの反政府運動とは違い、治安維持部隊とデモ隊の双方がどんどん暴力的になってきている。日本大使館からは登録者宛に毎日デモの情報メールが届いている。他の日系企業の駐在員の家族らの大半がもうタイを離れたと聞くし、不安が尽きない」と語る。