22日に外国人の入国禁止 トップダウンの決断力 @ベトナム・ハノイ【3月23日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】
- 2020/4/1
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ベトナムはASEAN圏内では新型コロナウイルスの封じ込めに比較的成功してきた。2月中旬以降、しばらく新規感染者は確認されなかった。3月2日、英国からの航空機内でクラスター(集団感染)が発生したため、強硬な防疫措置に打って出た。
感染者が多い中国や韓国からの航空便乗り入れを禁止し、3月15日からは、ヨーロッパ27カ国からの渡航者を入国禁止とした。また、ビザの発給を停止し、ビザなしで約2週間の滞在が認められてきた日本人に対しても、21日からビザ免除を停止した。22日からは、全ての外国人の入国が禁止となった。
15日の時点で、首都ハノイには外国人観光客の姿はかなり少なく、休業する飲食店は2割程度だった。一方、外国人が経営する飲食店は政府や地元警察、自治体などから強制的に休業するよう命令が下され、ベトナム人の経営する店よりも休業命令の確率が高いと話す人もいた。特に南部の商業都市ホーチミン市の1区にある日本人向け飲食店やバーが多いエリアは、いち早く休業に追い込まれた。ハノイでは、15日から外国人入国禁止になる22日まで、ほとんどの店で外国人の入店に問題はなかったが、日本人だと分かると、空席があるにも関わらず「満席です」と入店拒否された人もいた。
ベトナム国内ではあまり報道されていないが、20日には格安航空会社のベトナム発の便が全て欠航になった。ベトナムの格安航空会社ベトジェットの窓口担当者は「政府の命令で4月25日まで国際線が全て欠航になった。ほかの航空会社も同じ」と話した。ウェブサイトを確認すると、ほかの格安航空会社も全ての日程が削除されていたが、ベトナム航空やタイ国際航空は減便しているものの、運航していた。そんな中、タイも22日から実質的な入国規制を行うと発表した。そのため20日のタイ航空の夜便は、駆け込みでベトナム出国・タイ入国を希望する人たちで満席となった。
ベトナムは社会主義国だ。防疫措置が国を守るために必要だと判断すれば、トップダウンで決断が下され実行される。意見することも許されないので、状況の変化が大きい。外国人の入国禁止によりベトナム国内に残る外国人が差別されないか、といった懸念もある。外国人在住者の多くは現地に仕事があり、脱出したくてもできないのだ。