県境越えた地域連携を模索【全国DMO巡り Vol.11】(一社)鳥取中部観光推進機構

▲倉吉白壁土蔵群。江戸時代の商家の街並み、白い漆喰壁と焼杉が特徴

 前身の「とっとり梨の花温泉郷広域観光協議会」は2005年に設立。鳥取県中部の1市4町に加え、岡山県真庭市に位置する蒜山(ひるぜん)地域を包括。全国に地域連携DMOが誕生する前から、県境を越えた観光組織として活動する。

▲日本一危険な国宝といわれる三徳山三佛寺の「投入堂」(三朝町)

 圏域観光のテーマは『癒しの旅』。美肌・アンチエイジング効能のある4つの温泉、三徳山の国宝、投入堂や日本遺産登録の六根清浄・六感治癒、倉吉白壁土蔵群、蒜山高原、『名探偵コナン』の作者である青山剛昌ふるさと館など、歴史も自然も豊かな観光スポットがたくさんある。


 7人のスタッフが参加組織と連携して、情報の一元化やプロモーション、着地型観光商品の開発、産品輸出などに取り組んだ。2016年には、圏域観光のガイドや通訳・翻訳などのスキルを研修によって身につける『インバウンドオペレーター登録制度』を確立。40人を認定した。

▲これまで11年間にわたり他県で開催されてきた伝統的なフラダンスの全国大会の誘致を実施した

 「モク・オ・ケアヴェ・インターナショナル・フラ・フェスティバル 2018 日本大会 ㏌ 鳥取」を誘致したのは成果の1つ。バスツアーやサイクリングといった着地型観光商品も数多く開発し、旅行会社から取り扱い要請が増えた。

 海外客の増加に対する問題もある。例えば倉吉白壁土蔵群には、観光ビジネスとは無関係に生活している人たちの民家も多く、観光客を受け入れることに馴れていない。

 継続的な職員雇用が課題だ。行政や旅行会社からの派遣は一時的で地域に根付かない。プロパー職員の待遇改善に向け、DMOに対する人件費ベースの指針を観光庁などが示して欲しいというのが現場の願いのようだ。

今伝えたいこと

岩崎 元孝会長

 組合や協会単位では完結できなかった部分を補い、支えあえる観光地域をつくることが使命と考える。地域間が連携することで新たな情報拡散と発展につながることの可能性は大きく、その成果も出ている。

 ただ、圏域が広範なだけに、地域によって意思、意向が異なり、事業実施が難しい場合もある。それぞれの地域性や個性を尊重しつつ、人を呼び、癒やしを与える観光地づくりに取り組んでいきたい。

法人名:(一社)鳥取中部観光推進機構
設立年:2016年1月
所在地:鳥取県倉吉市上井町2-1-2

参加県・企業:倉吉市、三朝町、湯梨浜町、北栄町、琴浦町、鳥取中部ふるさと広域連合、鳥取県中部総合事務所、倉吉観光マイス協会、三朝温泉観光協会、湯梨浜町観光協会、北栄町観光協会、琴浦町観光協会、蒜山観光協会、倉吉ホテル旅館組合、三朝温泉旅館協同組合、はわい温泉・東郷温泉旅館組合、関金温泉旅館組合、日本交通、日ノ丸自動車、鳥取県ハイヤータクシー協会中部支部、JR倉吉駅、鳥取県中部観光土産品協会、鳥取中央農業協同組合、倉吉商工会議所
年間延べ宿泊者数:国内 61万907人/海外 2万3563人(2017年)

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