葬儀の縮小や多様化によりアフターサービスの充実に関心集まる[口コミ]@エンディング産業展(ENDEX・セレモニージャパン内)前編

展示会名:第7回 エンディング産業展(ENDEX)2021(セレモニージャパン内)
会期:2021年6月9日(水)~11日(金)
会場:東京ビッグサイト 青海展示場
主催:TSO International
出展者数:146社
来場者数:1万2634人
併催展:第5回石材・霊園産業展
同時開催:CAFERES JAPAN 2021、ウェルネスライフジャパン 2021

 葬祭やセレモニーの展示会「エンディング産業展」には、葬儀・埋葬・供養などの終活関連、神社・寺院向け設備・サービスなどが集まった。新型コロナウイルスの影響で葬儀規模が縮小し、従来の経営方法の見直しを迫られている葬儀社や寺院関係者、協業先を探す代理店や商社などが来場。アフターサービスの充実を目指して、葬儀に特化したCRMシステム、遺影作成サービス、遺品整理などに関心を寄せる人が多かった。

 出展者は、葬儀設備や用品を扱う企業とITシステムや宇宙葬といった新しいサービスを提供する初出展のベンチャー企業に二分された。葬儀の規模縮小や多様化により、参入できるサービスの幅が広がったことが影響している。来場者数は減少したとはいえ、どちらかと言えばオンラインの活用には消極的だった業界全体が死活問題を契機に、利用に抵抗がなくなってきており、情報感度や需要の高さを感じる出展者が多かった。


会場で成約もあり、手応えは想定の数十倍

東京印書館(埼玉県朝霞市)

 戦後まもなく創業した歴史を持つ印刷会社。実験的に始めた、デジタルリマスター技術を活用した退色写真の復元、トーン技術や金彫りを施した遺影作成のサービスの反響を確認し、認知度を高めるために、展示会に初めて出展した。ブースには葬儀のアフターケアを充実させたい葬儀社や写真館、また新規事業を探す異業種が訪れ、特に写真復元の技術に興味を寄せた。業務提携や復元のデモンストレーションの話があったり、会期中にウェブサイトへの問い合わせが増え、会場で成約となったケースも数件ある。名刺交換枚数は想定より多く、手応えは想定の数十倍と言える。

 初出展のため、展示会の前回、前々回の様子を聞き、葬儀業界に精通した人からアドバイスを受け、ひと目で分かりやすいブース作りを心がけた。印刷会社が持つ既存の画像修正技術を、表現方法を工夫しながら新たな市場であるエンディング業界でも価値を創出できるか試すことができた。多くの発見があり、出展して本当によかった。

 コロナ下の営業はオンラインになった部分もあるが、商談や製品評価は現物を介してのやりとりにならざるを得ないので、対面も並行している。今後はウェブサイトのコンテンツも充実させていきたい。量より質で、役に立ったり楽しませたりするコンテンツの発信が集客には大切だ。


ブース来場は、ほぼ同業者

大阪エクセルホテル東急(大阪市)

 真宗大谷派難波別院と一体になったホテルの運営を行っている。御堂を備えていることからエンディング産業展との親和性を感じ、認知度アップのために初出展した。ブースを訪れ名刺交換したのは、墓地関連や他宗の寺院などほぼ同業者だ。

 2019年のスタート当初は順調だったが、新型コロナの影響により海外からの利用者が激減し、2割程度の稼働にまで落ち込んだ。現在は持ち直してきてはいるが、以前の水準には回復していない。参詣者も減少し、このままお寺に来なくてもいいという習慣が根付いてしまうのではないかと懸念している。しかしこのことは、積極的に情報を発信していく契機にもなった。SNSの運用や動画サイトでの法話投稿を始め、一定の興味を持ってもらえているのを感じる。またデジタルツールのスキルアップの機会にもなり、チラシ作成やウェブページの改善は外注せず、自分たちの手で行うようになった。寺院関係者全体で、できることの幅を広げていく時期でもあると捉えている。


人数は想定より少ないが、商談の質はよい

船井総合研究所(大阪市)

 経営コンサルティング会社で、この展示会には初めて出展した。寺院向けのコンサルティングをサブスクリプション型で提供するサービスをアピールした。ブースにはターゲットである寺院や神社の関係者が多く訪れた。新型コロナの影響による法事回数や参列者の減少で、経営に対する危機感が如実に高まっている。全体的な来場者数が少ない分、名刺交換枚数も想定よりは少ないが、情報感度の高い来場者が多く、話の質はよかった。

 寺院は持続化給付金の対象にならなかったという背景があり、投資よりも、何とかして生き残りたいという寺院関係者は多い。今回のような商材に興味を持つ来場者はITリテラシーが高い。コロナ下ではDMを中心とした営業がメインで、商談はオンラインで進めている。一方で、業界的には対面で話すことの大切さも感じる。


見積提出も2〜3件あり、手応えを感じる

協同コム(東京都中央区)

 デジタルサイネージの販売施工会社で、エンディング産業にも販路を拡大できるのではないかと考え、初めて出展した。ブースには、まだまだ紙媒体をメインとする葬儀関係者が訪れ、関心を寄せていた。1日50枚程度の名刺交換をし、すでに2〜3件に見積もりを出しており、成約すれば十分に元は取れる。来場者の属性が他の展示会と異なり、非常に手応えを感じている。物流関連からの逆営業もあった。

 昨年の緊急事態宣言の際は一時需要は落ち込んだが、今年に入ってからはコロナ以前まで回復した。対面営業は難しくなったので、オンラインや電話での営業が圧倒的に増えたが、慣れてしまえば得られる成果に差はないと感じる。コロナ下では、ウェブカメラや検温システムと組み合わせた提案の必要性を感じるので、システム開発の技術を持つ会社と話を進めていきたい。


名刺交換枚数は、以前の半分

大東(横浜市)

 ブライダルギフトや返礼品、冠婚葬祭の印刷物を販売したり、オンライン会葬システムなどを提供しており、この展示会には数回出展している。オンラインで葬儀のライブ配信、弔問・会葬・供花・弔電の受付、返礼品の送付や決裁などを行うことができるサービスが、葬儀社の関心を集めた。来場者は葬儀方法の見直しという具体的な課題を抱えている。オンライン会葬への興味・需要の高まりを感じる。名刺交換枚数は以前と比べて5割近くに減り、新型コロナの影響を強く感じる。

 コロナ下でも営業方法は変わらずに訪問営業であり、返礼品に組み合わせてオンライン会葬を提案する。葬儀社は個人営業が多く、オンラインの商談のインフラが整っていない場合が多い。

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