7月12日からバンコクなどでロックダウン @タイ・バンコク【7月20日/新型コロナウイルス世界の反応・現地レポ】
- 2021/7/25
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止まらぬ感染拡大 高まる政府批判
タイ政府は7月12日、バンコクおよび近郊の県のロックダウンを実施した。許可のない一般人は夜21時から翌朝4時まで外出禁止となる他、飲食店の店内サービスも禁止となる。小売店舗の営業については、食料品や生活必需日を扱う店舗に限って時間限定での営業可能となるが、大手銀行も商業施設内の窓口を閉鎖するなど多数の店舗が営業を停止することになっている。
タイでは今年4月から国内感染者数が増大し続けている。7月には1日あたりの感染者数が9000人台に突入し、7月17日には1万人を超えた。20日には感染者数1万1305人、死者80人を記録している。インドで発生した変異株の感染も確認されており、不安感が高まっている。
ワクチン接種も他の東南アジア諸国と比べ遅れが目立っており、批判が高まっている。これまで政府は、タイ王室参加の製薬会社、サイアム・バイオサイエンスがイギリスのアストラゼネカ社から技術提供を受けてワクチンを国内生産する他、アストラゼネカ製ワクチンを供給してもらい接種にあてる計画を進めていた。だが現状ではワクチン供給数が予定より遅れており、その理由について「アストラゼネカ社側が供給量を守っていないため」とも取れるようなコメントを政府幹部が口にしていた。
しかし、最近になって政府とアストラゼネカ社の内部文書が流出。文書によると、両者が契約を正式に結んだのは今年5月のこと。近隣諸国が遅くとも今年1月に契約を結んでいた中、大幅に遅れて契約を結んでいたことが明らかになった他、アストラゼネカ社側が提示した供給量よりも大幅に少ない量しか必要ないとタイ政府が試算していたことなどが発覚した。
政府は20日にタイ保健省がファイザー社から2000万回分のワクチンを購入する契約を結んだと発表し、今年度第4四半期に供給される見通しであることを明らかにした。また、購入分とは別にアメリカ政府からファイザー社製ワクチン150万回分を寄贈される予定があることも発表したものの、内部文書の流出によって政府の対応や見通しの甘さが露呈する形となり、反発が強まっている。
経済回復を目指し、7月1日から実施するプーケット県での強制隔離なしで海外からの観光客受け入れに関しても、18日までにタイに入国した8377人のうち17人が入国時の検査で陽性と判明。機内で陽性者の近くに座っていた人も自費でホテルでの強制隔離を余儀なくされる事態となった。
昨年末までは世界でも類を見ないほど新型コロナの押さえ込みに成功していたタイだが、今年に入ってから感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。政府に対する批判は日に日に高まっており、反政府運動も活発化。警察が催涙弾を使った鎮圧活動も行っているが、騒動が収まる気配はない。当面は緊張が続きそうだ。