ワクチン対象を12歳以上へ、人口の半数が接種 @カナダ・トロント【5月24日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】
- 2021/5/29
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トロント在住記者のワクチン予約から接種までの体験レポ
カナダでは23日、新型コロナワクチンの接種率が人口の50%を超えた。接種対象を12歳以上に拡大し、国籍を問わず全員に、無料で提供していることが大きく影響している。トロントのあるオンタリオ州では、18歳以上の6割が少なくとも1回目の接種を終えた。トロント在住の記者が、ワクチン接種の予約から接種後までをレポートする。
接種日の1週間前に、オンタリオ州のサイトからオンラインで予約をした。接種場所は、薬局と集団会場から選択できる。薬局は、電話やメール、専用フォームなど、店舗により予約方法はさまざまだ。集団会場は、名前、州の健康保険の番号、生年月日、郵便番号を入力して、最寄りの会場を選べる。2回目の予約も必要だが、1回目の投与から約16週間後になるため、後日変更もできる。予約の確認はメールで届き、予約日、予約番号、QRコード、注意事項が記載されていた。
会場は、スポーツやイベントを行う施設だった。集団接種なので、予約時間の10分前に到着するよう指示されていたが、休日の昼間でも待機せずに入場できた。入口付近の受付で、予約メールと保険証を提示すると、体調や海外渡航の有無について、いくつかの質問を受けた。順路を進むと再び受付があり、同じやり取りを繰り返した。数多くブースが用意されていたので、一度も止まることなく接種ブースにたどり着いた。
接種ブースは、間隔を空けて配置されている。保険証を提示し、体調やアレルギー、2週間以内に他のワクチンを受けたかなど、受付よりも細かく質問を受けた。不安なことがあれば、常駐する医師や看護師に質問できる。ワクチンのメーカーは事前に開示され、同意すれば接種を受けられる。予約時には、ファイザー製かモデルナ製のどちらかと記載されていたが、現在はファイザー製のみを取り扱っているようだった。
左右どちらの腕に接種したいかを聞かれ、利き腕と反対側を選ぶと、痛みもなく一瞬で打ち終わった。アナフィラキシーショックや気分が悪化することもあるため、接種後に15分間の経過観察が必要だ。待機時間が書かれたカードを手渡され、待機場所に進むよう指示された。
待機場所には椅子が用意されており、任意の場所で待つ。家族や同行者がいる場合は、十分に椅子が確保されているにも関わらず、1つの椅子の周りに複数人で立って待つ様子が目立った。15分が経過してもスタッフから声がけはなく、自分で出口付近のカウンターに向かう。
カウンターでは、体調や2回目の予約日などを確認された。特に問題がない場合は、ワクチン接種の証明書とステッカーを受け取り終了となる。証明書と体調が悪化した際の対応については、メールでも案内があった。カウンターの横には、自撮りができる撮影スポットがあり、ワクチンを接種するようSNSで拡散を求められた。
接種直後は、針を指した部分を含めて、特に違和感はなかった。14時ごろに接種して、20時過ぎから少し腫れて痛みが出始めたが、いつも通り眠ることができた。翌日は、腕の腫れと痛みが続き、腕を上げる動作をすると痛みが強まった。幸運にも発熱はなく、身体のだるさも感じなかった。
ワクチンを接種するにあたり、予約から接種当日までスムーズだった。予約は在住する州の公式サイトから行う。スマートフォンにも対応していた。会場では医療従事者のほか、案内や受付、清掃など、十分な人員を確保していた。特に案内役の人数が多く、次々と訪れる来場者を流れるように案内していた。どのスタッフも丁寧な対応で、質問に答えたり、前向きな声かけをしたりしていた。
カナダでは昨年12月からワクチン接種が始まった。人口の75%が、少なくとも1回は接種することを目標に計画が進む。集団免疫を獲得することで新型コロナウイルスの感染状況を改善し、公衆衛生の規制緩和につなげる狙いだ。例えば、ロックダウンが続くオンタリオ州では、成人の60%以上が1回接種すれば、ロックダウンや在宅命令が解除される見込みだ。全国で接種が普及している今、一日も早く日常が訪れることを期待して、感染予防に努めたい。