第34回 海外進出するなら「脱・日本式」[今日の中国]

▲今年も「China Beauty Expo」には日本企業の出展が見られた

現地に溶け込むきっかけづくり

 新型コロナウイルスの影響で日本と中国との渡航が制限されて早1年以上。今まで頻繁に日中を行き来していた私も、気づけば昨年2月以降中国から一歩も出ずに事業を展開しています。

 こうした中国在住の日本人は、私の周りにもたくさんいます。皆さんは海外に住む日本人がどれくらいいるのか、知っていますか? 1位はアメリカで41.9万人だそうです。中国は2位で、13.1万人。しかも、その多くは上海・北京に住んでいると言われています。3位はオーストラリアで8.9万人、4位はイギリスで6.7万人、5位はタイで6.7万人となっています。

 中国に住む日本人の多くは日本企業の駐在員やその家族ですが、私のように中国での成功を夢見てやってきた個人事業主や、外国人との結婚を機にやってきたという人も少なくありません。上海に住んでいる私の友人も、アルメニア人の夫と結婚したことがきっかけで、仕事の関係から中国に移り住んだそうです。彼女はいわゆる「日本人的な性格」ではなく、非常に活発な人で、中国の現地にすっかり溶け込んでいます。こうした現地に溶け込むことは、生活においても、ビジネスにおいても、非常に重要なことです。

 では、「現地に溶け込む」ということはどういうことなのでしょうか? それは、中国を異国と捉え、日本式ビジネスを貫こうとすることをやめることだと思います。海外でビジネスをするのだからそんなことは当たり前だと思われるかもしれせんが、私が日本人の顧客から受ける相談の中でも、「日本式」を貫こうとする人は少なくありません。例えば、現地で行うべきことなのに日本でやりたがる。「日本でやった方がコントロールできるから」「日本円で決算できるから」「日本語が通じるから」。こうした考えでは、いつまで経っても現地に馴染めず、成功をつかむことは難しいでしょう。

 現地に溶け込むために必要なのは、現地の良きパートナーです。現地をよく知り、サポートしてくれる人。今は新型コロナで渡航が制限されていますが、中国にも現地をよく知る日本人はたくさんいて、それぞれが独自のネットワークを持っています。こうした人たちを頼りに現地に入り込んでいくことで、気づけば溶け込めるようになっていくはずです。

 私の知り合いで、ラーメン店を経営する3兄弟がいます。彼らはもともと福岡でラーメン店を営んでいたのですが、2000年初頭に中国に出店。今では20年続く老舗ラーメン店として、上海の地元民からも愛される店になっています。3兄弟もすっかり現地に溶け込んでいて、他の飲食店の立ち上げや経営を手伝うなど幅広い活躍を続けています。

 これから中国や海外に進出したいと考えている人は、その現地に溶け込むためにはどうしたらいいのか、しっかりと考えてみてください。

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