
市営交通インフラが下支え
日本と同じように、中国では3月末から4月にかけて桜が満開を迎えます。週末になると多くの花見客が行楽地に殺到。かくいう私も上海郊外の公園で花見とBBQ(バーベキュー)を楽しみました。
上海では数年前からBBQが非常に人気を集めています。花見ができるような広い公園や野外施設では必ずと言っていいほどBBQ場が併設されており、上海のお花見と言えばBBQとセットで行うものと言っても過言ではありません。
上海のBBQは「手ぶら」が基本です。肉や野菜といった食材の用意はもちろん、火起こしもスタッフがやってくれます。もちろん、片付けもすべてスタッフがやってくれるので、利用客は食材を焼いて食べるだけ。さらにBBQ場には消防士が常駐しているので、万が一の際にもすぐに消火活動にあたります。それでいて、費用は2時間で200元(約3300円)程度とリーズナブル。しかも、BBQ場のほとんどが屋根付きなので小雨程度なら問題なく楽しむことができます。こうした気軽さから、上海ではテントを張ってBBQや自然を楽しむ「プチアウトドア」がブームになっているのです。

BBQが人気を集めている背景には、上海の交通の便の良さがあります。上海は人口2700~2800万人の大都市で、市が運営するバスや地下鉄といった交通インフラが市民の生活を支えています。BBQ場は郊外の落ち着いた地域にあることが多いのですが、住宅街から郊外までしっかりと交通インフラが張り巡らされているので、誰でもすぐに郊外まで遊びに行くことができます。さらに特筆すべきは、その費用です。上海の市営バスの運賃は、長距離バスなど特別なものでない限り、2元(約33円)です。市営地下鉄は18路線ありますが、端から端まで乗車しても運賃は9元(約150円)。安価で、素早く、気軽に移動できる。こうした環境が郊外でのBBQ人気を後押ししているのです。
上海の地下鉄は現在も延長工事が進んでおり、近いうちにさらに遠くにも行けるようになります。また、無人運転の採用も進んでおり、私が今回のお花見で乗った15号線も無人運転のものでした。今後都市開発はさらにAIの活用が進んでいくと予想されます。5年後の上海の交通事情はどう進化しているのか、今から楽しみです。