空港に隠れたライター再利用術
新型コロナウイルスが未だ世界で猛威を振るっていますが、中国ではうまく抑え込むことに成功しており、昨年のうちに観光市場も盛り返しを見せています。かくいう私も先日、雲南省にある大理に旅行に行ってきました。大理は標高2050メートルの高所にある地域で、中国有数の避暑地として人気の観光地となっています。そこで今回は旅行をテーマに日本との生活習慣の違いを紹介したいと思います。
日本人はよく「中国人は旅行が好き」と言います。実際に旅行に行く中国人は非常に多いので間違いではありませんが、より正確に言うならば、中国人にとって旅行は生活の一部なのです。日本では「衣・食・住」が生活の基本とされていますが、中国では「衣・食・住・行(旅行)」の4つが生活の基本と言われるほどです。そのため、中国では旅行用品が非常によく売れます。
中国では国内旅行の需要も非常に高いですが、その理由の1つが交通費の安さです。中国では国内のさまざまな地域に空港がある他、日本でいう新幹線にあたる高速鉄道が国内全土に網羅されています。しかも、いずれも料金は安価です。例えば、北京から上海までの飛行機なら約1万5000円。距離でいえば東京~大阪程度の距離となります。日本も現在はLCCにより飛行機が安価になってきましたが、それに負けないほど安価となります。
チケットの購入も簡単になっています。今では日本も同じになっていますが、中国ではIT化が早々に浸透していることから、スマホでのチェックインが当たり前になっています。スマホでQRコードを画面に表示させることでチェックインすることができる他、荷物も自動チェックイン機を使って自分で手続きすることができます。
また、国内線での違いで言えば、中国では国内線でも食事が出ます。日本の国内線の多くはドリンクのみの提供が多いかと思いますが、中国では多くの航空会社が国内線も食事を提供してくれます。
さらにユニークなのは、ライターの扱いです。中国では商談時にたばこを出されるほど愛煙家が多いのですが、日本と違って国内線でもライターの持ち込みが禁止されています。そこで中国の空港では、喫煙所にライター専用の回収ボックスが設置されています。愛煙家の搭乗客は飛行機に乗る前に喫煙所でたばこを吸い、ライターを回収ボックスへ捨てていきます。ここで回収されたライターは、今度は到着した搭乗客が持ち帰ることができるのです。私が先日旅行した際も、上海の空港の喫煙所でライターをボックスに入れ、到着した大理の空港で別のライターをもらって帰りました。中国の空港で喫煙所をよく見てみると、黄色と緑色でデザインされた自動販売機のようなものが見つかると思います。この機械には、その空港で回収されたライターが保管されており、利用者がWechatでQRコードを読み取ることで無料で受け取ることができ、ライターが再利用されるのです。こうすることで各空港に捨てられていくライターを別の人へと循環させ、無駄な廃棄を無くすことにもつながっています。