「新型コロナ下対応型コンテンツを作り出す」
「新型コロナの影響下でも対応できる新たなコンテンツを作りたい」。そう語るのは、(一社)豊の国千年ロマン観光圏(大分県別府市)の堤栄一郎さんだ。新型コロナによって観光客が減少する中、新たなコンテンツ開発に挑んでいる。
同団体があるのは大分県別府市だ。日本有数の温泉地として知られるほか、近隣を見渡せば世界農業遺産の国東(くにさき)半島宇佐地域、神仏習合の発祥ともいわれる国東半島六郷満山がある。六郷満山の中心である宇佐神宮は、市内から北へ車で40分程度に位置し、全国4万社ある八幡宮の総本宮でもある。日本全国からはもちろん、海外観光客からも人気が高い。「海外の主要ターゲットは台湾・香港などのアジアだ。九州という地理的なメリットもありアジアからのリピーター確保を目指している。ほかにも、欧・豪の富裕層向けには世界農業遺産体験や農泊、離島の姫島の歴史や自然・文化を堪能できる2泊3日以上の滞在交流型ツアーも展開している。販売開始後すぐに1組予約が入ったが、新型コロナでキャンセルになってしまった」と堤さんは語る。
そこで今注力しているのが、新型コロナの影響下でも対応できる新たな観光コンテンツの開発だ。2021年度は680万円の予算を投じて、自宅で『温泉染め』を体験できるオンラインイベントを開催した。温泉染めは天然染料である柿渋と、市内にある明礬(みょうばん)温泉の湯の花で行う染付手法で、温室によって色が変わるといわれている。参加者には事前に温泉染めキットを送っておき、オンライン会議システムZoomで講師がレクチャーしながら体験する。「地元で温泉染めを研究しているアーティストに参加してもらい、3回実施した。いずれも県内外から定員の7割超の人が参加してくれた。通年で実施できる商品として展開していきたい」と堤さんは語る。
今伝えたいこと
堤 栄一郎事務局長
新型コロナの影響下でも対応できる新たなコンテンツの造成が急務となっている。『温泉染め』オンライン体験会のほかにも、今年3月からサイクリングツアーも展開する予定だ。DMOは従来の観光協会や一自治体だけで担えない地域連携を担うべきだと考えている。DMOに権限と財源が与えられていないことに疑問を感じることもあるが、今後はこの地域のプラットフォームとしてさまざまな地域課題の解決につながる取り組みをさらに強化していきたい。
設立年月:2017年4月3日
所在地:大分県別府市京町11-8
年間延べ宿泊者数:国内 2671人/ 海外 604人(2019年)
参加自治体・企業・団体:別府市、中津市、宇佐市、豊後高田市、国東市、杵築市、日出町、姫島村、大分県、ツーリズムおおいた、各市町村観光協会、宿泊施設、交通機関
代表者: 田北 浩司代表理事