雄大な浅間山の登山口。市の真ん中を千曲川が流れ、噴火がつくった独特の地形に小諸城や北国街道ができ、歴史情緒あふれる高原の城下町として発展してきた。この町並みや標高を生かした新しい観光プログラムをつくろうと、DMOが中心となってさまざまな企画に取り組んでいる。
浅間山登山では、登山が苦手な人を仮装して出迎えたり、経路に合わせ『克服度』達成スタンプを押すといったエンターテインメント要素を含めた『トラウマ克服登山』が人気だ。スノーシュートレッキング、アニマルトラッキングなど、浅間山の大自然を感じ、生き物たちと触れ合うプログラムも開発した。
開発を担ったこもろ観光局は、『地域おこし協力隊』という地元の事業者が中心にできた組織で、観光局がDMOとなって、これまで以上にマーケティングや広報活動に力を入れたことで、課題や実態が見えてきた。
観光VTRの制作もその1つ。小諸を舞台とした人気アニメがあり、聖地巡礼地として熱心なファンが小諸を訪れていたが、小諸に対する若者層の認知度は低かった。そこでアニメに出演した声優を起用した観光VTRを制作し、首都圏のテレビCMや全国のメディアに発信した。2018年の「小諸城址 懐古園の紅葉まつり」では、過去に比べてたくさんの観光客が押し寄せた。
今取り組むのは、市内の空き家や古民家を有効利用する『まちなかホテル構想』や、標高2000メートルの立地を生かした『高地トレーニングエリア構想』といった、新しい観光・集客プログラムだ。
小室孝明事務局長は、住民と事業者が主体的に地域観光に取り組み、外部の人を招くことの重要性を話す。数字にあらわれにくい住民の感情の高まりが一番の成果だという。最も大切なことは「最終的に地域住民が幸せになったかどうか」だと、小室事務局長は話した。
今伝えたいこと
花岡 隆理事長
「詩情あふれる高原の城下町」の魅力を新しい人と視点、手法で創り上げ、発信することに取り組み、少しずつ成果が上がっている。2019年度から複数のワーキンググループも立ち上げ、事業者やNPOなどが、企画から主体的に観光事業に関わり、運営までを担う体制を整えた。
他のDMOと同様、人口減少に伴う観光客の減少対策として、インバウンドの推進は、小諸にとっても生き残りの必要条件だ。行政主体ではなく、地域住民を巻き込んだ活動で、「住んでよし、訪れてよし」の小諸を世界にアピールしていく。
設立年:2016年11月25日
所在地:長野県小諸市大手1-6-16
参加県・参加県・企業:小諸商工会議所、佐久浅間農業協同組合、小諸市農業青年クラブ、(一社)小諸フィルムコミッション、こもろ観光ガイド協会、NPO法人小諸町並み研究会、しなの鉄道、浅間・高峰観光協議会、小諸商店会連合会、小諸市金融団、日本政策金融公庫、小諸市社会福祉協議会
年間延べ宿泊者数:国内 約6万8000人