ファンドを武器にした開発力【全国DMO巡り Vol.1】せとうちDMO

▲5年間で100棟の古民家を簡易宿泊所に改修する計画を打ち出す

 瀬戸内を囲む7つの県にまたがる地域を、『瀬戸内エリア』としてブランド価値向上させるために設立した組織。地域の観光コンテンツを発掘し、国内外に対して情報発信を担当するせとうち観光推進機構(広島市)と、地域内の各事業者に対して観光客を受け入れるための対策や、資金需要に応える瀬戸内ブランドコーポレーション(広島市)という、公と民2つの組織でDMOを形成する。

 瀬戸内ブランドコーポレーションは、7県エリアの第一地銀など19行27事業者で構成され、98億円のせとうち観光活性化ファンドの運用を担当する。ファンドを持つDMOは全国的に例がない。

 公的組織でなければ難しいエリア一帯のブランディングを観光推進機構が担当し、民間視点で優先順位をつけながら事業を推進する部分をブランドコーポレーションが請け負う。地域に宿泊施設を供給するため、古民家を改修して簡易宿泊施設を運営する企業に1棟2000万円規模の融資を実行した。今後5年間で100棟を供給する計画だ。

▲これまでの改修では1棟あたり2000万円の費用を要した。費用は瀬戸内ブランドコーポレーションが融資した
▲自転車を運ぶ『サイクルシップ』は、10月の国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ」でデビュー予定だ

 また、5日にはJR西日本イノベーションズ(大阪市)とともに、自転車を持ち込める船『サイクルシップ』を保有する瀬戸内チャーター(広島市)を設立した。しまなみ海道で国内外の自転車愛好家の間で上がった知名度を、追加投資で強化する。対外的なプロモーション活動はイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、オーストラリアを中心に行っている。

今伝えたいこと

村橋 克則事業本部長

 これまでの観光協会でもプロモーション活動は行われてきた。だが、観光プロダクトを作ることには、ほとんど力が注がれてこなかった。「サイクルシップ」事業は、知名度が上がったしまなみ海道を、サイクリストにとってより魅力的にするためのプロダクトだ。こういったコンテンツを持って、対外的なプロモーションを仕掛けていく。


佐々本 博士社長

 ブランドコーポレーションの職員の給与は今のところ出向元から支払われているが、独立採算をめざす完全民営企業だ。古民家改修のように、空き家のような地元が抱える問題と、インバウンド誘致という前向きな取り組みを推進する事業を行っていきたい。


法人名:(一社)せとうち観光推進機構/瀬戸内ブランドコーポレーション
設立年:2016年3月
所在地:広島市中区基町10番3号

参加県・企業(せとうち観光推進機構):兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、(一社)中国 経済連合会、イオンリテール中四国カンパニー、近畿日本ツーリスト中国四国、サントリーホールディングス、四国旅客鉄道、JTB中国四国、タイムズモビリティネットワークス、西日本旅客鉄道、日本航空、日本旅行、楽天トラベル、リクルートライフスタイル
年間延べ宿泊者数:国内 3990万1040人/海外 339万8080人(2017年・速報値)

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