ロックダウンによる失業に対する社会保障を6月末まで延長 @オーストリア・ウィーン【2月19日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

 オーストリアでは、2月8日からロックダウンが緩和され、美術館や博物館、店舗の一部などが再開した。一方、飲食店やホテル、劇場、コンサート会場、スポーツ、イベント施設などは引き続き閉鎖しており、企業は社員の在宅勤務を可能な限り継続している。筆者の家族でも既に1年近く自宅勤務が続いており、昨年3月から出社したのはわずか数回のみだ。

 ロックダウンの緩和によりウィーンの街は人出が増え、この1週間の新規感染者数は再び上昇し始めた。政府は、6月末まで『一時的失業措置』を3カ月間延長すると発表した。これは、昨年3月からロックダウンによって仕事ができなくなった人に対して、手取り収入の80~90%を政府が支給する社会保障で、4回目の延長となる。また、政府は『一時的失業』期間中、企業に対して社員への研修などを奨励しており、それに係る費用の60%は政府機関が負担する。政府は、現状「一時的失業措置」は不可欠とし、6月以降に段階的な調整を行うとした。従って、少なくとも6月までは部分的なロックダウンが継続する模様だ。

 度重なるロックダウンによる国内経済への影響は大きく、2020年度の総合的な経済損失は前年度比でマイナス6%以上となっている。オーストリア銀行の報告によると、最も影響を受けているのは、世界規模のサプライチェーンを持ち、輸出に頼る自動車産業だ。消費財であるファッション分野なども大きな損失を受けている。観光やホテル、文化関連サービスも打撃を受けている業界だ。一方で、製薬業界は新型コロナ感染拡大の影響で大きな伸びを示し、ロックダウン下でも許可されていた建設業も業績は好調だという。また、食品や不動産、金融分野についても成長が予測されている。

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