東京ビッグサイトをモデルにしたかのような仮想空間 @SEMICON JAPAN Virtual【オンライン展示会】

 
  • 2021/2/1

 半導体業界の展示会「SEMICON JAPAN 2020 Virtual」が、バーチャル形式のオンライン展示会として開催された。世界10カ国から172社・団体が出展した。本開催終了後のアーカイブ期間に参加し、展示ブースや機能、操作感などについてレポートする。

展示会名:SEMICON JAPAN 2020 Virtual
ライブ配信:2020年12月11日(金)~18日(金)
オンデマンド配信:2020年12月11日(金)~2021年1月15日(金)
出展者数:172社 主催:SEMI

周りの人の気配を感じることはできず

▲「SEMICON JAPAN Virtual」のトップページ

【この記事の概要】
1.インターフェースについて
 出展企業はカテゴリー分類と五十音順で表示
2.出展者エリアについて
 テーブルの上に商品ごとの入り口を設置
3.スマホでの使用感、その他について
 一般入場ではカンファレンスは視聴できず
4.出展企業の声
 リード獲得327件 リアルよりも数は多い
5.まとめ
 獲得したリード件数、他の展示会を圧倒


1.インターフェースについて

出展企業はカテゴリー分類と五十音順で表示

 事前登録の上、ウェブサイトにアクセスする。トップページはバーチャル展示会場をイメージするビジュアルだ。アイコンはすべて英語表記になっており、海外サイトのように感じる。表記を日本語にする機能はない。

 画面のフッターには大きなアイコンが5つ並んでいる。一番左の『Lobby』がトップページにあたる。画面上部には大型スポンサーのロゴが表示され、クリックするとそれぞれの企業ページに移動する。

▲『Expo Hall』ではカテゴリーと社名で出展者の検索ができる

 『Expo Hall』をクリックすると、出展者のブースを検索できる画面に移動する。囲み内は日本語表記されていた。背景の『東1出口』という表示は、東京ビッグサイトをイメージしたもののようだ。

 カテゴリー検索では『装置』『材料』『部品』『サービス』に分かれており、『装置』なら『マスク製造装置』『搬送装置』などに分類されている。その先に具体的な企業名が五十音順に並ぶ。社名などからも検索ができる。


2.出展者エリアについて

▲企業ブースの入り口

 企業名をクリックすると、それぞれの企業のバーチャルブースに入る。各社とのコンタクトには『出展者情報』記載の電話番号に連絡するか、『出展者へお問い合わせ』フォームを使う。開催期間中は『商談予約』を使い、オンライン・電話・メール・対面での商談の予約ができた。『Click Here』でブース内に入ることができる。

テーブルの上に商品ごとの入り口を設置

▲企業ブース内に入ったところ

 2つあるテーブルのどちらかに近づくことができる。展示物の数により、テーブルが1つのブースもあった。テーブルには、製品をイラスト化したものが置かれており、クリックすると商品が大きく表示される。

商品の詳細は以下のいずれかで確認できた。
1 背後のパネルをクリック
2 ピンクの下矢印ボタンで資料をダウンロード(1と同じ)
3 ピンクの右矢印で企業のウェブサイトに移動

 画面上部の矢印があるスクリーンをクリックすると、ブースの上に動画画面が現れる。代表者のインタビューや商品紹介動画を見ることができる。動画はスムーズに再生された。

 テーブルは2つ並んでおり、隣のテーブルの商品や動画を見ようとクリックしたが、反応はなかった。一度画面左上の『Return to Front』で、企業ブース入り口画面に戻り、再び近づくと見ることができる。


 バーチャル空間は360度ビューだが、無人のブースが並んでいるだけで、会場を回遊することはできず、それぞれのブースが孤立している状態だ。参加者に発見されることなく期間終了を迎える企業も多そうだ。


3.スマホでの使用感、その他について

一般入場ではカンファレンスは視聴できず

 スマホからも参加してみた。インターフェースはすっきりした印象に変わり、操作感もスムーズだった。バーチャルブースも問題なく見ることができる。

 PC向けのサイトでは、1つの画面に多くのことが盛り込まれすぎているのだろう。スマホ表示は情報が整理されており、操作しやすい。

 カンファレンスは一般入場では視聴できなかった。有料のAll-in Passを購入すれば視聴可能だ。


4.出展企業の声

リード獲得327件 リアルよりも数は多いが、商談につなぐコミュニケーションに課題

電子部品・加工業のティ・ディ・シー(宮城県宮城郡)担当者に成果を聞いた

 1月14日現在のブース来場者数は327件。具体的な問い合わせ数は1件にとどまり、直接の見積もりではなく、加工内容についての質問だった。数は多いが、何が目的なのか全く分からない。お礼のメールも同じ文面で送るしかなく、全く反応がなかった。

 決して悪い数字ではない。リアルの「SEMICON Japan」では取れないリード数だ。会社名・部署名を見てもミスマッチではないと感じる。リアルでも来てくれているところが多い。

 2020年から別のオンライン展示会(「高精度・難加工技術展」「MEMSセンシング&ネットワークシステム」)に出展したが、参加者数が少なく、結果は「SEMICON」よりも悪かった。会期中の引き合いもなく、問い合わせも1件など、成果はなかった。

 通常であれば、年間10数本の展示会に出展している。その中でも「SEMICON」は成果を得やすい。リアルの「SEMICON」での名刺交換数は70〜80枚だ。うち、具体的な案件につながるのは10〜20%。フォローして見積もり、商談を経て、最終的につながるのは試作開発系のお客さまが1〜2件だ。最初から大きな受注は期待しておらず、将来的に試作から量産につながればいい、何かあったときに連絡をもらえればいいと思っている。

 オンライン出展のメリットは、交通費の削減と、感染症対策だ。だが、お客さまに直接会って困り事・関心事を聞かないと、個別のフォローができない。数は多くても一斉メールしか送れないので、メールへの返信はゼロになる。

 だが、成果がないとも言い切れない。新型コロナの前から、ウェブサイトへの問い合わせが1日1〜2件来ている。展示会によく出ていたことの積み重ねだと思う。今の問い合わせは「SEMICON」の来場者かもしれないし、違うかもしれない。

 しばらくリアルでは出展できずオンラインになるが、このままのやり方では直接的に見えず効果が見えないので、費用対効果が分からない。出展費用は20万だ。『東北パビリオン』という東北のチームで出展しており、宮城県が出展費用を半額負担してくれた。会社の方針で新型コロナが落ち着くまでリアル出展の予定はないが、落ち着いたらリアルに戻りたい。


5.まとめ

獲得したリード件数、他の展示会を圧倒

 ティ・ディ・シーからリードが327件取れたと聞いて驚いた。他のオンライン展示会への出展者に取材した中でも群を抜いて多いからだ。しかもリアル展示会とほぼ同じ来場者層だという。回遊性がないので、明確な目的を持って検索しないと、各ブースに行き着くことができない。ブースを訪れた人々は、その場で積極的にコンタクトを取ることはなくても、同社への関心を持って来場したと推測できる。

 バーチャルブースに余計な機能があまりついておらず、全体的にシンプルで操作しやすかった。オンライン商談に慣れない来場者が多そうなので、チャットやビデオ商談機能をつけていないのは正解だろう。活用されない上、画面が複雑になるだけだ。惜しいのは、展示会を自分の「情報源」にできる機能が全く備えられていないことだ。気になった企業や商材をブックマークし、あとで参照できる機能をぜひ備えて欲しい。


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