ツェルマットやニセコのような世界的スノーリゾートを目指して
「スキー場や飲食店での自動翻訳機やウェブ決済の導入を進めたい」
「ウィズコロナ時代を見据えた観光地づくりのために、国内外の観光客受入れの環境整備に注力している」。そう語るのは、2017年10月に設立した(一社)大雪カムイミンタラDMOの島要介さんだ。同団体は北海道の8市町(旭川・愛別・上川・鷹栖・当麻・東神楽・東川・比布)で構成されるDMO。北海道最高峰の「旭岳」や「旭川動物園」などの人気観光地を擁し、国内では子ども連れ家族、海外では台湾や中国に人気のエリアだ。団体名にある“カムイミンタラ”はアイヌ語で「神々の遊ぶ庭」という意味で、エリア内にある国内最大の国立公園「大雪山国立公園」のことを指しているという。
観光の目玉の1つが、この大雪山エリアのスノーアクティビティだ。世界屈指とされるパウダースノーが利用者に好評で、国際線のある旭川空港からもアクセス良好。だが、課題は世界における認知度の低さだ。世界のスノーリゾートと言えば、マッターホルンのふもとにあるスイスのツェルマットが有名だ。また、北海道において、真っ先に挙げられるのはニセコだ。「大雪山エリアと言われてもどこかが結びつかない人が多い。ブランドづくりと周知をしていかなければ、ツェルマットやニセコのようにはなれない」と島さんは語る。
そこで取り組んでいるのが、エリアのブランド化だ。「Mountain City Resort」としてエリア内の大小さまざまなスキー場が連携。地域のグルメとスキーや温泉などの体験プログラムをパッケージ化し、都市型スノーリゾートとして売り出す戦略だ。スキーツアーはもちろん、より手軽な「雪だるまづくり」や鳥の声に似た音を出す道具を作る「バードコール制作体験」などをつくり上げたという。「『雪だるまづくり』はシンプルなプログラムだが、複数の参加者がSNSに投稿するなど、反応は良かった。旅行者から要望が高かった『チェックインや夕食前までの1~2時間で楽しめる』プログラムづくりに重点を置くようにしている」(島さん)
新型コロナウイルスの影響も少なくない。観光客は減少し、仕事が減った山岳ガイドも多い。「山岳ガイドの支援策としてモニターツアーの発注なども行っている。ウィズコロナに対応した観光地づくりのため、スキー場や飲食店などでの自動翻訳機やウェブ決済の導入を進めていきたい」と島さんは語る。
今伝えたいこと
新型コロナによって観光地の誘客活動や受け入れ環境整備の考え方は大きく変わり、さまざまな部分で安心・安全がこれまで以上に求められている。観光客に大雪山エリアを何度でも訪れたいと思ってもらえるように、しっかりと受け入れ環境の整備を進めていきたい。
ウィズコロナ時代において、今後、観光地域として誘致活動や受入環境整備などについて「ニューノーマル」な変革が必要であり、様々な部分で「安心・安全」が求められる。大雪エリアが安心・安全な訪問先であり、“何度でも訪れたくなる地域”として認知されるよう、しっかり受入環境整備を行っていきたい。
設立年月:2017年10月26日
所在地:〒070-0033 北海道旭川市3条通7丁目418-1 オクノ6階
年間延べ宿泊者数:国内153万5000人泊/海外41万6000人泊
参加自治体・企業・団体:北海道旭川市、鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、愛別町、上川町、東川町
代表者:西川 将人理事長(旭川市長)