イングランド北部でローカルロックダウン @イギリス・ロンドン【8月12日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲サマセット・ハウスに設けられた水場

8月9日の新規感染者は1148人

 イギリスで新型コロナウイルスの感染者数が増加を続けている。8月9日の新規感染者数は1148人。1日の新規感染者数では6月21日以来の大幅増となる。8日も758人の陽性反応が確認されており、警戒が高まっている。

 8月7日には北イングランドのプレンストンでローカルロックダウンされることが決定した。室内やガーデンでの会合などが禁止となる。北イングランドでは別の地域でも感染者数が増加しており、不安の声が上がっている。近隣国でも警戒が強まっており、8日にはベルギーやアンドラ公国、バハマ諸島が渡航時の2週間隔離の対象に追加された。イングランドやウェールズでは悪質な違反者に最高1000ポンド(約14万円)の罰金、スコットランドでは最高5000ポンドの罰金が課せられる場合もある。また、ロンドンでも感染者数が増加している地域があるが、人口10万人に対して4~10人程度の割合のため、他の地域よりも危機意識はまだ薄いようだ。

 イギリスでは8月6日以来30度を超える真夏日が続いており、ビーチなどを訪れる人が増えていることも感染者増の一因となっているとの見方が強まっている。イギリスの夏はそれほど気温が高くなることがなく、こうした真夏日が続くことは珍しい。また、日本のように家庭にエアコンがあることは珍しいため、熱帯夜をどう乗り切るかが話題になっている。

ワクチン接種に関する意識調査で、約半数が「受けない」と回答

 新型コロナに対する警戒が再び高まる一方で、ワクチンに対する期待度はあまり高くないようだ。8月9日に発表されたワクチン接種に対する意識調査によると、イギリス人の約半数はワクチンを接種しないと回答した。34歳以下で「受けない」と答えた人は22%に上り、若年になるほど「受けない」と答える割合が高くなる傾向にあるようだ。ワクチンを接種しない理由で多かったのは「陰謀論」や「政府や権限者、科学者らが信用できない」など。政府などに対する信用の低さが如実に現れる形となった。

 また、感染者との接触状況や痕跡把握を行う機関で、大規模なリストラが実施されることが明らかになった。職員1万8000人のうち、6000人が解雇予定だという。接触者の追跡は学校の再開には不可欠と言われており、現状は9月から学校が再開される予定の中、こうした大規模なリストラを実施することで学校再開に影響が出ないか、不安の声が上がっている。政府は「学校の閉鎖は最後の手段」との意向を示しており、今後の動向に注目が集まっている。

 イギリスでは10月のファーロウ政策の終了を受けて約120万人が失業するとの予測も出ており、国民に不安が広がっている。財務大臣は政策を来年まで延長すれば失業者増大を軽減できるとの見方も示すが、8月半ばまでで失業者は73万人に達している。また、GDPが20%減少し、不況に突入した。8月10日には34年間続いた「オペラ座の怪人」の公演が終了することが発表となった。劇場はロックダウン以降再開されておらず、国民的イベントの閉演を受け、国全体に暗いムードが漂っている。

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