今後は海外にもアピール 狙いは台湾人【全国DMO巡り Vol.47】(特非)赤城自然塾

▲近年は小さな子ども連れの夫婦や、登山、氷上ワカサギ釣りを楽しむ20代の増加がみられるという

電動自転車で赤城山サイクリングツアー

 東京から約2時間、関東北部にある赤城山は豊かな自然にあふれ、休日になると都心から多くの観光客が訪れる。ハイキングや写真撮影を目的とする人も多いが、近年はアニメ作品とのコラボでも注目を浴びている。

 そんな赤城山で今人気を集めているのが、サイクリングツアーだ。赤城山は坂の多いエリアだが、高性能電動アシスト付きスポーツ自転車で悠々と巡ることができる。大学生や小さな子ども連れの夫婦、一人旅好きの25~30歳観光客など、若年層に人気だという。

▲赤城山白樺牧場では初夏にはレンゲツツジが見ごろとなる

 このサイクリングツアーの仕掛け人となっているのが、赤城山を有する前橋市のDMO「赤城自然塾」だ。同社は赤城山の環境保護活動を通じて赤城山の魅力を発信するために活動しているNPO法人で、2018年に地域連携DMOとして認定された。サイクリングツアーは、昨年度にクラウドファンディングで資金調達を実施して整備を行った。公共交通が少なく、車を持たない若い世代でも気軽に遊びに来られるようにと考え付いた事業だったという。渡邉しのぶ事務局次長は「前橋市は毎年『まえばし赤城山ヒルクライム大会』を開催するなど自転車の街というイメージを推進している。そのイメージを基に、近年減少している若年層を誘致できないかと考えた。これまでは日時限定のツアーを実施してきたが、7月下旬からは個人グループでもツアーに参加できるようにし、ソーシャルディスタンスを保ちながら利用者を伸ばすようにしていきたい」と語る。

▲赤城山大沼(おの)では、氷上ワカサギ釣りを楽しむことができる

 今後はインバウンド誘致にも注力する。最大のターゲットは台湾だという。台湾でサイクリングがブームになっており、ヒルクライム大会でも複数の台湾人が参加している。「ただ、現状のHPでは英語での情報発信すら満足にできていない状態だ。新型コロナウイルスの影響でインバウンド誘致ができない分、今のうちにウェブの多言語対応などアフターコロナに向けた準備を進めたい」と渡邉事務局次長は語る。

今伝えたいこと

佐伯 一理事長

 赤城山で観光地化しているのは山頂エリアだけで、地域住民にとっても観光に根ざした地域づくりの意識や環境改善意識がまだ低い。赤城山を訪れたことがない、知らないという人もいる。新型コロナの影響で県外への移動を自粛している今だからこそ、自分たちが住んでいる地域に誇りを持ってもらえる機会と捉え、地域住民に向けた情報発信や地域事業者と連携した活動を続けていきたいと思う。

法人名:(特非)赤城自然塾
設立年月:2012年12月
所在地:群馬県前橋市粕川町中之沢7番地 サンデンフォレスト内

参加自治体・企業・団体:NPO法人まえばし農学舎、赤城山総合観光案内所、ぐんまフラワーパークなど計90団体
年間延べ宿泊者数:国内 約13万9000人(市街地等含まず)
代表者:佐伯 一理事長

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