江戸時代から残る「醤油醸造のまち」【全国DMO巡り Vol.16】(一社)湯浅観光まちづくり推進機構

▲紀伊半島の西の入り江という土地と気候は『田村みかん』やアジ、サバ、シラスなど豊富な農水産物を生み、湯浅町の魅力的な観光資源となっている

 和歌山県の中西部に、湯浅町という小さな町がある。人口は約1万2000人。鉄道の駅は町内に1つしかない。そんな湯浅町に2018年2月、和歌山県初となる日本版DMOが設立した。それが、湯浅観光まちづくり推進機構だ。

 湯浅町は醤油(しょうゆ)醸造で知られる町だ。江戸時代には商工業の町として栄え、地下水の水質が良く水量も豊富だったことから、醤油の醸造が盛んに行われたという。当時の街並みは今も戦火をまぬがれて残っており、文化庁の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。同町の醤油醸造の文化は日本遺産にも認定され、「醤油観光」が同町の観光の呼び水となっている。

インバウンド取り込みへ招聘ツアー実施

 湯浅町の年間宿泊者数は4万8267人で、そのうち9775人が海外からの観光客だ。観光客誘致の増加に向けては、ここでもインバウンドがテーマだ。昨年は「美しい日本遺産」をテーマとしたインバウンドの招聘(しょうへい)ツアーを実施した。11月に香港、12月には大連・瀋陽からやってきた観光客に町内の伝統地区を案内し、著名な料理人を招いて地元の特産物を使用した料理を提供した。前田芳宏代表理事は「湯浅の魅力を伝えることができたと思う。多くの参加者から、湯浅にまた来たいと言ってもらえた」と話した。

 シーカヤックなどマリンレジャーも豊富で、地元の湯浅湾で水揚げされるシラスをはじめとする海と山の幸もある。インバウンド招聘ツアーは2019年1~2月にも実施する予定だ。地元の観光財産を武器にした、小さな組織の挑戦は続く。

▲「紀州湯浅のギョギョっとお魚まつり」や開催42回を数える「湯浅まつり花火大会」など、地元のお祭りの事務局をDMOが務めている。観光案内所や休憩施設にスタッフを配置し、観光客の受入体制強化に力を入れている

今伝えたいこと

前田 芳宏代表理事

 県下初の日本版DMOとして、和歌山県観光活性化の先陣を切れたことはうれしい。しかし、我々の活動はまだまだ認知されていない。観光振興の取り組みの成果はすぐに目に見えて現れるものではないが、湯浅町の豊かな自然、豊富な食、温暖な気候、古くから受け継がれてきた歴史は、国際的な観光都市に成り得る可能性を有している。

 我々が湯浅町でしか体験できない『コト』を創造し、地方創生へより一層力を尽くしたい。スタッフも関係者も観光客が着実に増加していることを実感している。

法人名:(一社)湯浅観光まちづくり推進機構
設立年月:2018年2月
所在地:和歌山県有田郡湯浅町青木668-1

参加自治体・企業・団体:湯浅町商工会、前福、とち亀物産、小宿 栖原温泉、かどや食堂ほか
年間延べ宿泊者数:国内 3万8492人/海外 9775人

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