年間観光客90万人でも消費単価940円【全国DMO巡り Vol.23】(一社)南丹市美山観光まちづくり協会

▲町中を約800灯の灯篭でライトアップするイベント『雪灯篭』

 京都府の中央部にある美山町には、年間90万人の観光客が訪れる。日本家屋が並ぶ『かやぶきの里』では、地域の家屋50戸のうち39戸がかやぶき屋根で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定される。冬は大雪に閉ざされる田舎町だが、今ではその雪景色も名物になった。

 観光地が抱えている課題は、消費単価の向上だ。京都市内の観光客が平均で2万円弱を消費するのに対して、同町はわずか940円だ。2016年設立の南丹市美山観光まちづくり協会が最優先で取り組むのも、観光商品の開発とインバウンド対応だ。

▲海外からの観光客が増えているため、英語ガイドの育成にも注力している

 2017年、年間宿泊者数2万2734人のうち4649人が海外からの観光客で、増加しているため、英語の案内ガイドを育成し、クレジットカードによる事前決済システムを導入した。

 宿泊と予約の窓口も一元化し、宿泊需要を高めるため、中高生を対象とした民泊商品も作り出した。美山の自然と田舎ぐらしを体験する教育を目的とした民泊で、協会が町民に協力を呼びかけた。「一般家庭には負担も大きく、観光でもうけることに罪悪感を感じる人もいた。観光によるまちづくりの必要性や稼ぐ仕組みを知り、地域が少しずつ盛り上がっている」(高御堂和華事務局長)

 専門人材の確保が急務だ。現状のスタッフでは手いっぱいで、就活フェアに出展したり、社会人向け職場体験なども実施した。だが、観光の知見に富んだ人材はなかなか見つからない。2019年度からは京都大学観光MBAの協力を得て市場調査に取り組む。

▲田舎暮らしが体験できる『農山村教育民泊』には台湾の高校生も参加している

 「台湾の中高生が来た時に、住民が我が子のように受け入れて、別れの時に涙を流しあった姿が印象に残っている。その後、住民が台湾の高校生を訪問したこともあった」(高御堂事務局長)

今伝えたいこと

中川 幸雄代表理事

 美しい自然とかやぶき屋根が並ぶ美山町は、「暮らすように旅をする町」だ。90万人もの観光客がこの町に訪れるようになった一方で、限られた予算の中で専門人材を確保できないという課題もある。だからこそ、地域の住民や組織と連携しながら、まちづくりのビジョンを共有することが不可欠だ。この町の伝統を住民一人一人が引き継ぎながら、そのことを誇りに持って世界中の人をもてなし、誰もが持続的に暮らせるまちづくりを目指している。


法人名:(一社)南丹市美山観光まちづくり協会
設立年月:2016年7月
所在地:京都府南丹市美山町安掛下23

参加自治体・企業・団体:美山まちづくり委員会、美山ふるさと、美山町地域振興連絡協議会ほか
年間延べ宿泊者数:国内 1万8085人/海外 4649人(2017年度)

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